舞鶴市で、舞鶴市立中央図書館新築工事の入札が始まりました。

今回公告された建築工事の予定価格は、税込21億3,620万円です。

舞鶴市は中央図書館整備に約48億円もの税金を投じる計画ですが、そのうち一体いくらが舞鶴市内の企業や雇用に還元されるのでしょうか。

「大規模な公共工事だから、地域経済にも大きな効果がある」

本当にそう言えるのか、入札条件を確認してみました。

この記事の要約

・中央図書館新築工事の予定価格は税込21億3,620万円
・工事は3社で構成する共同企業体(JV)が受注する
・市内A等級業者2社の参加が必要で、各社の最低出資比率は20%
・市内2社の出資比率を最低40%として単純計算すると約8億5,448万円
・これは総事業費約48億円の約17.8%にすぎない
・しかも資材費や市外業者への外注費を除けば、市内に実際に残る金額はさらに小さくなる可能性がある
・入札不調による事業費増額や工期延期にも注意が必要

新築工事だけで21億3,620万円

今回公告されたのは、中央図書館事業全体ではなく、あくまで建築工事です。

主な入札内容は次のとおりです。

・予定価格:21億3,620万円(税込)
・税抜予定価格:19億4,200万円
・工事場所:舞鶴市字伊佐津ほか
・工期:本契約成立の翌日から令和10年4月10日まで
・入札方式:条件付一般競争入札・総合評価方式
・開札予定:令和8年9月1日午前9時30分

電気設備、機械設備、備品、移転などが別契約であれば、当然それらの費用は今回の21億3,620万円には含まれません。

つまり、中央図書館全体に必要な税金を把握するには、建築工事だけを見るのではなく、関連するすべての契約を合計して検証する必要があります。

市内企業2社の参加が条件

建築工事を受注するには、3社で特定建設工事共同企業体、いわゆるJVを結成する必要があります。

入札公告では、次の条件が設定されています。

・JVは3社で構成する
・代表企業以外の2社は、舞鶴市内の建築一式工事A等級業者とする
・各構成員の最低出資比率は20%
・代表企業は、ほかの構成員より高い出資比率を持つ

市外企業が代表となり、出資比率を最大の60%とした場合、市内企業2社はそれぞれ最低20%、合計40%となります。

建築工事の予定価格21億3,620万円に40%を掛けると、市内2社の出資比率に相当する金額は約8億5,448万円です。

区分出資比率の例予定価格による単純換算
代表企業60%約12億8,172万円
市内企業A20%約4億2,724万円
市内企業B20%約4億2,724万円
市内企業合計40%約8億5,448万円

ただし、これは出資比率を予定価格に掛けただけの参考値です。

出資比率と実際の施工分担額が同じになるとは限りません。市内企業に確実に8億5,448万円分の工事が発注されると決まったわけではないことには注意が必要です。

総事業費約48億円のうち約17.8%

仮に、市内2社の出資比率相当額を約8億5,448万円とした場合、中央図書館の総事業費約48億円に対する割合は約17.8%です。

48億円という巨大な公共事業の割に、市内企業に関係する金額は、最低条件による単純換算で2割にも届きません。

しかも、約8億5,448万円がそのまま舞鶴市内に残るわけではありません。

建築工事には、次のような費用が必要です。

・鉄骨、コンクリート、ガラスなどの建築資材
・メーカーから購入する建材や製品
・建設機械や仮設材のリース料
・運送費
・市外専門業者への外注費
・現場管理費
・保険料や保証関係の経費

こうした資材やサービスを市外から調達すれば、そのお金は舞鶴市外へ流出します。

市内企業がJVに入っていることと、市民の所得や市内企業の利益としてお金が残ることは同じではありません。

見るべきなのはJVの看板ではなく、最終的なお金の流れです。

48億円使って、舞鶴にいくら残るのか

舞鶴市が本当に「地域経済への波及効果」を主張するのであれば、少なくとも次の数字を明らかにする必要があります。

・JV各社の実際の出資比率
・市内企業が担当する施工金額
・市内下請業者への発注額
・市内で調達した資材の金額
・市内労働者に支払われる賃金
・市内企業に残る利益
・市外へ流出した金額

「市内業者もJVに参加しています」という説明だけでは不十分です。

市民が知りたいのは、48億円の事業を実施したという実績ではなく、48億円のうち、実際にいくらが舞鶴市内を循環したのかです。

入札不調の可能性にも注意

今回の工事は、入札不調になる可能性も考えておく必要があります。

現在、建築資材費や人件費は上昇しています。さらに、建設予定地はJRの線路や駅舎、住宅地に近く、安全対策や騒音・振動対策も必要です。

また、3社JVの結成が必要であり、1つのJVに市内A等級業者が2社参加しなければなりません。市内業者は複数のJVへ重複参加できないため、参加できるJVの数も限られます。

想定される不調の原因は、大きく二つです。

1つ目は、条件を満たすJVを結成できず、入札参加者が集まらない場合。

2つ目は、参加者が積算した結果、予定価格では施工できず、すべての入札額が予定価格を上回る場合です。

入札が不調になれば、予定価格や設計内容、工期、JV要件などの見直しが必要になり、再入札によって開館が遅れる可能性があります。

さらに注意しなければならないのは、総事業費約48億円が再び増額される可能性です。

私は市内への経済効果を徹底的に調べます

私は、公共事業そのものを否定しているわけではありません。

しかし、人口減少が進み、市内の中小建設業者が厳しい状況に置かれる中で、約48億円もの税金を使うのであれば、できる限り市内の仕事、雇用、賃金、利益として還元される仕組みをつくるべきです。

巨大な施設を一つ建てれば、市内経済が潤うとは限りません。

同じ税金を使うなら、道路、上下水道、公共施設の修繕など、小規模な工事に分けて市内企業へ継続的に発注する方法もあります。

その方が市内企業が元請として受注しやすく、資金回収も早くなり、地域の雇用や技術を守ることにつながります。

中央図書館に約48億円。

そのうち、舞鶴市内に実際いくら残るのか。

入札結果だけでなく、落札後のJV出資比率、施工分担、市内下請率、市内調達額まで徹底的に調査する必要があります。

税金を使った金額ではなく、市民に何が残ったのか。

私は、この視点から中央図書館事業を引き続き検証していきます。

舞鶴市・中央図書館新築工事の入札公告

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