
舞鶴市が抱える課題
2026年7月更新
舞鶴市には、人口減少、地域経済の縮小、医療体制への不安、道路や上下水道の老朽化など、早急に対応しなければならない課題があります。
しかし、その一方で、必要性や費用対効果に疑問のある大型事業、成果を十分に検証しないまま続けられる事業、市外事業者への過度な発注なども見られます。
舞鶴市に税金がないのではありません。
限られた税金を、本当に必要なところへ使えていないことが大きな問題です。
私はこれまで、情報公開請求や行政資料の調査を通じて、舞鶴市政が抱えるさまざまな問題を取り上げてきました。
ここでは、現在の舞鶴市が抱える主な課題と、これから必要となる改善の方向性を整理します。
この記事の要点
- 人口減少が進む中、税収や職員数の増加を前提とした行政運営は続けられません
- 大型施設より、道路、上下水道、医療、生活交通を優先すべきです
- 税金の市外流出を減らし、市内企業、雇用、所得へ還流させる必要があります
- 市役所の事務ミスや説明不足を、個人の責任ではなく仕組みで防ぐ必要があります
- 市議会には、行政を追認するのではなく、予算と事業を検証する役割が求められます
- 問題を指摘して終わるのではなく、舞鶴を立て直す具体策が必要です
1.人口減少と地域経済の縮小
舞鶴市では、若者の市外流出と高齢化が進んでいます。
人口が減れば、地域で商品やサービスを購入する人が減り、商店や中小企業の売上も減少します。
人手不足や後継者不足によって廃業する事業者が増えれば、さらに働く場所が減り、若い世代が舞鶴を離れるという悪循環が生まれます。
人口減少を止めるという掛け声だけでは解決しません。
舞鶴市で働く人の所得を増やし、市内企業が仕事を受注できる環境をつくる必要があります。
改善の方向性
- 市内企業への発注を増やす
- 地元雇用につながる事業を優先する
- 税金が市外へ流出する構造を見直す
- 市内中小企業の事業承継を支援する
- 市街化調整区域など、企業立地や住宅取得を妨げる規制を見直す
- 若者が働き続けられる賃金と雇用環境をつくる
2.税金の市外流出
舞鶴市では、コンサルタント業務、設計、調査、システム、イベント、施設運営など、さまざまな業務が市外事業者へ発注されています。
専門性が必要な業務まで、すべて市内で行うことは困難です。
しかし、市外発注が当たり前になれば、舞鶴市民が納めた税金は、市内の雇用や所得として戻らず、市外へ流出します。
大型事業で「地元にも仕事が回る」と説明されても、主要部分を市外企業が受注し、市内企業には一部の下請け業務しか回らないケースもあります。
税金の使い道を考えるときには、事業費の総額だけでなく、
最終的にいくらが舞鶴市内へ残るのか
を検証しなければなりません。
改善の方向性
- 市内発注率を事業ごとに公開する
- 市外流出額を予算・決算で見える化する
- 分離・分割発注によって市内企業が参加しやすくする
- 地元雇用や地元調達を評価する入札制度を導入する
- 市内企業への技術移転と人材育成を進める
- 「税金の地産地消」を行政運営の基本方針とする
3.大型施設を優先する財政運営
舞鶴市では、人口減少が進む一方で、中央図書館や赤れんがパークなど、大型施設への投資が計画・実施されています。
施設は建設して終わりではありません。
完成後も、
- 人件費
- 光熱費
- 修繕費
- 設備更新費
- 指定管理料
- 将来の解体費
が必要になります。
建設時の予算だけでなく、今後数十年間の維持管理費まで含めて判断しなければなりません。
市民生活に直結する道路、上下水道、医療、公共交通よりも、大型施設が優先される財政運営には疑問があります。
改善の方向性
- 大型事業は建設費だけでなく、将来の維持費を公開する
- 利用者数や経済効果を第三者が検証する
- 既存施設の改修・活用案と必ず比較する
- 人口減少を前提に公共施設を再配置する
- 生活インフラへの予算を優先する
- 着工前の事業でも、必要性が失われた場合は中止・縮小する
4.道路・上下水道など生活インフラの老朽化
市民が安心して暮らすために、本当に必要なのは、日常生活を支える基盤です。
道路、橋、上下水道、河川、排水施設などは、壊れてから直すのでは遅すぎます。
老朽化した施設を放置すれば、事故や断水、浸水などのリスクが高まり、将来の修繕費も増大します。
一方で、目立つ大型施設には多額の予算がつきやすく、地味ではあるものの市民生活に欠かせないインフラ整備が後回しになりがちです。
改善の方向性
- 道路、橋、上下水道の老朽化状況を公開する
- 修繕の優先順位と実施予定を市民に示す
- 小規模な維持修繕工事を継続的に発注する
- 市内建設業者の仕事と技術者を確保する
- 災害時にも機能する上下水道・排水体制を整備する
- 大型施設より生活インフラを優先する
5.地域医療体制への不安
舞鶴市の医療は、複数の公的病院によって支えられています。
しかし、医師や看護師の不足、病院経営の悪化、診療科の縮小など、市民の不安は強くなっています。
特定の医師や医療機関に依存した体制は、その一人が退職・休職しただけでも維持できなくなる危険があります。
病院再編を進める場合も、建物や経営効率だけでなく、
- 救急医療
- 高齢者医療
- 出産・子育て
- 通院手段
- 東西地域の格差
- 災害時の医療体制
を含めて考えなければなりません。
改善の方向性
- 市民に医療の現状と将来見通しを公開する
- 病院再編の費用と効果を慎重に検証する
- 医師一人に依存しない診療体制をつくる
- 京都府や近隣自治体との医療連携を強化する
- 高齢者の通院交通を確保する
- 市民参加による医療体制の議論を進める
6.高齢者が安心して暮らせる仕組みの不足
高齢化が進む舞鶴市では、福祉サービスを増やすだけでは対応できません。
買い物、通院、移動、住まい、孤立、働く機会など、高齢者の生活全体を支える仕組みが必要です。
元気な高齢者が地域で働き、経験や技術を生かせる環境を整えることは、人手不足の解消にもつながります。
高齢者を「支えられる側」と決めつけず、地域を支える人材として活躍してもらう視点が必要です。
舞鶴市の再生には、長い時間がかかります。
現在の現役世代も、10年後、20年後には高齢者の仲間入りをします。
そのため、高齢者が安心して暮らせる仕組みづくりは、今の高齢者だけを対象とした福祉政策ではありません。
今働いている世代が、将来も舞鶴で安心して暮らし続けるためのまちづくりです。
今のうちから、移動、医療、住まい、仕事、地域とのつながりを支える仕組みを整えておかなければ、現役世代が高齢者になったとき、現在よりも厳しい環境に直面する可能性があります。
高齢者政策は、将来世代への先行投資でもあります。
改善の方向性
- 高齢者向けの短時間・単発就労の仕組みをつくる
- 買い物・通院支援を充実させる
- 地域交通と福祉を一体的に考える
- 空き家を活用した高齢者住宅を検討する
- 介護予防と社会参加を進める
- 高齢者の経験や技術を次世代へつなぐ
- 現役世代が高齢者になった後も暮らし続けられる地域基盤を整える
- 10年後、20年後を見据えた医療・交通・住まいの計画を進める
7.市役所の事務ミスと組織運営
舞鶴市役所では、支払い忘れ、発送間違い、確認不足など、本来は基本的なチェックによって防げる可能性のある事務ミスが発生しています。
個々の職員だけを責めても、同じ問題は繰り返されます。
必要なのは、
- 期限管理
- 業務の共有
- 二重チェック
- 記録の保存
- 担当者不在時の引継ぎ
- デジタル技術による自動確認
など、組織としてミスを防ぐ仕組みです。
DXはパソコンや新しいシステムを導入することではありません。
仕事の進め方そのものを見直し、ミスや無駄な作業を減らすことがDXの目的です。
改善の方向性
- 期限や支払いを一元管理する
- 重要業務には二重チェックを義務づける
- ミスの原因と再発防止策を公開する
- 個人の経験に依存しない業務手順を整備する
- DX導入の成果を具体的な数字で検証する
- 市民対応の記録と引継ぎを徹底する
8.成果を検証しない事業の継続
行政事業は、一度始まると、十分な成果がなくても翌年度以降も続けられる傾向があります。
補助金、イベント、観光事業、PR事業などについて、
- 何人が利用したのか
- 売上や雇用につながったのか
- 市内にいくらお金が残ったのか
- 当初の目的を達成したのか
を検証しなければなりません。
「実施した」「参加者がいた」「新聞に掲載された」だけでは、事業の成果とは言えません。
改善の方向性
- 事業開始前に数値目標を設定する
- 毎年度、成果と費用対効果を公開する
- 成果のない事業は廃止・縮小する
- 同じ団体への補助金継続を定期的に見直す
- PR効果ではなく、市民所得や雇用への効果を重視する
- 新規事業を増やす前に既存事業を整理する
9.観光偏重と地域経済への波及不足
舞鶴市では、観光を地域活性化の中心に据えた施策が長く続けられています。
観光は重要な産業の一つですが、観光客が増えれば必ず市民所得が増えるわけではありません。
市外企業が運営し、市外から商品を仕入れ、短期・非正規雇用が中心であれば、観光消費の多くは舞鶴市外へ流出します。
イベントや来場者数だけでなく、地域経済にどれだけ利益が残ったのかを検証する必要があります。
改善の方向性
- 観光客数だけでなく、市内消費額を検証する
- 市内企業・商店への波及効果を公開する
- 地元調達率を高める
- 観光以外の製造業、建設業、物流、介護なども重視する
- 季節雇用に偏らない安定した仕事を増やす
- 行政主導ではなく、民間が継続できる事業を支援する
10.公共交通と地域間格差
舞鶴市では、バス路線の縮小や運転手不足によって、移動手段の確保が難しくなっています。
特に、高齢者や運転免許を持たない人にとって、公共交通は生活に欠かせません。
また、東舞鶴、西舞鶴、加佐、大浦など、地域によって行政サービスや交通環境に差があります。
施設を一か所へ集約すれば行政側の管理は効率化できますが、市民の移動負担は増える可能性があります。
改善の方向性
- 地域ごとの移動ニーズを調査する
- 小型車両や予約型交通を導入する
- 通院・買い物・公共施設への移動を優先する
- 施設集約による市民負担も検証する
- 民間交通事業者と行政の役割を整理する
- 地域ごとに最低限必要な行政サービスを確保する
11.市議会の監視機能と説明責任
市議会の重要な役割は、市長や行政が提出した予算・事業を監視し、市民の立場から検証することです。
しかし、議案を可決するだけでは議会の役割を果たしたとは言えません。
多額の税金を使う事業については、
- なぜ必要なのか
- 他の選択肢はないのか
- 将来負担はいくらか
- 誰が受注するのか
- 市内にいくら還流するのか
- 失敗した場合に誰が検証するのか
を厳しく確認する必要があります。
議員は行政から説明を受けるだけでなく、自ら資料を調べ、市民に分かりやすく伝えなければなりません。
改善の方向性
- 予算と決算の審査を強化する
- 大型事業の費用対効果を検証する
- 議員ごとの賛否や発言を分かりやすく公開する
- 市民が議会資料を確認しやすくする
- 秘密会や非公開協議を必要最小限にする
- 市議会として行政の失敗を検証する
12.情報公開と市民参加の不足
行政が保有する情報は、市民共有の財産です。
市民が市政について判断するためには、予算、契約、会議、事業評価などの情報が分かりやすく公開されていなければなりません。
黒塗りの多い資料、議事録が残らない会議、結論だけが示される計画では、市民の理解や信頼は得られません。
また、市民からの疑問や批判を、単なるクレームとして扱うのではなく、行政改善の材料として受け止める姿勢が必要です。
改善の方向性
- 原則公開を情報公開の基本とする
- 重要な会議は議事録を残す
- 契約や補助金の情報を分かりやすく公開する
- 計画決定前に市民へ複数案を示す
- パブリックコメントを形式だけで終わらせない
- 市民からの意見や苦情を組織改善につなげる
13.誘致事業と失敗の検証不足
舞鶴市では、新幹線、企業、観光施設など、さまざまな誘致活動が行われてきました。
誘致そのものが悪いわけではありません。
しかし、実現可能性が低くなった事業を続けたり、失敗した事業の経緯や費用を検証しなかったりすれば、同じ失敗を繰り返します。
「将来への投資」という言葉だけで、際限なく税金を使うことはできません。
改善の方向性
- 誘致事業ごとの支出総額を公開する
- 実現可能性を毎年度見直す
- 実現しなかった場合の検証を行う
- 成果のない関連予算は速やかに停止する
- 誰がどのような判断をしたのか記録を残す
- 誘致頼みではなく、既存企業を育てる政策を優先する
舞鶴の課題は、税金の使い方で改善できる
舞鶴市が抱える課題は多岐にわたります。
しかし、すべてを一度に解決する必要はありません。
まずは、
- 必要性の低い事業をやめる
- 税金の市外流出を減らす
- 道路や上下水道を優先する
- 市内企業と雇用へ税金を還流させる
- 市役所の仕事を見える化する
- 議会が行政を厳しく監視する
という、行政として当たり前のことを積み重ねる必要があります。
私は、舞鶴市にはまだ立て直す力があると考えています。
問題が多いからこそ、改善できる余地も大きく残されています。
厳しく調べ、事実を市民に伝え、具体的な改善策を提案する。
市民の税金を守り、舞鶴を立て直す。
そのために、これからも舞鶴市政の調査と政策提案を続けていきます。
森本たかし
