最終更新日:2026年9月11日

【この記事の要約】
舞鶴市立中央図書館の新設工事で、入札への参加を申請していた3つの共同企業体がすべて辞退し、入札が取りやめとなりました。
舞鶴市の聞き取りに対し、事業者は「採算が取れないと判断した」と説明しています。今後は工事費を再積算するため、建設費がさらに膨らむ可能性があります。
再入札を急ぐのではなく、今こそ計画を一度凍結し、最新の建設費と将来負担を公開したうえで、中央図書館を本当に建設するのか、市民に判断を求めるべきです。
中央図書館の工事を引き受ける業者がいなくなりました
舞鶴市が進めている、市立中央図書館の新設工事。
2026年9月1日に開札が予定されていましたが、入札への参加を申請していた3つの共同企業体が、最終的にすべて辞退しました。
その結果、入札は取りやめとなりました。
一社だけではありません。
参加を予定していた3者すべてが辞退したのです。
舞鶴市がそれぞれの代表企業へ聞き取りを行ったところ、当初は入札へ参加する意思があったものの、詳しく検討する中で、
採算が取れないと最終的に判断した
という回答だったと、鴨田秋津市長が市議会で説明しました。
「やばいぜ舞鶴」で指摘してきた懸念が現実に
私はこれまで「やばいぜ舞鶴」で、中央図書館の新設計画について繰り返し問題を指摘してきました。
人口減少が止まらない舞鶴市で、本当にこれほど大規模な中央図書館を新設する必要があるのでしょうか。
建設費だけではありません。
完成後には、毎年の維持管理費や人件費、光熱費、設備更新費なども必要になります。建物は完成した瞬間に終わるのではなく、そこから何十年もの市民負担が始まります。
さらに、資材価格と人件費は上昇を続けています。
当初の事業費で本当に完成させられるのか。建設費がさらに膨らむのではないか。
私が指摘してきた懸念が、今回の全者辞退によって現実のものとなりました。
舞鶴市は「積算は適正だった」と説明
鴨田市長は、市議会で次のように説明しました。
当初の積算については、定められた積算基準に基づいて、公表されている最新の単価等を用いて適正に算定した。
その一方で、資材価格や人件費の急激な上昇が続き、事業者側が将来のリスクまで含めて費用を計算した結果、辞退に至ったとの認識を示しています。
つまり、舞鶴市は「積算は適正だった」と主張していますが、実際に工事を請け負う事業者は、3者とも「採算が取れない」と判断したのです。
行政上の積算が基準どおりだったとしても、現実の市場価格とは大きな隔たりがあった可能性があります。
行政が「適正だった」と説明するだけでは、この結果を市民が納得することはできません。
再積算すれば、建設費はさらに膨らむのではないか
舞鶴市は現在、工事費を改めて積算し、可能な限り早く再公告する準備を進めています。
しかし、3者すべてが「採算が取れない」と判断した以上、同じ条件のまま再公告しても、事業者が参加するとは考えにくいでしょう。
次に予想されるのは、予定価格の引き上げです。
つまり、中央図書館を建設するために、さらに多くの税金が必要になる可能性があります。
ここで確認しなければならないのは、少なくとも次の点です。
- 再積算によって建設費はいくら増えるのか
- 市債の発行額と将来の返済負担はどうなるのか
- 開館時期はどれだけ遅れるのか
- 規模や設備を縮小する考えはあるのか
- 現在の東図書館、西図書館などを活用する方が安くならないのか
- 人口減少後も維持できる施設なのか
- 市民生活に必要な道路、上下水道、防災などより優先すべき事業なのか
ところが、今回の市議会答弁では、追加事業費や開館の遅れについて具体的な数字は示されませんでした。
上羽議員は「誰かの責任ではなかった」と受け止める
質問した上羽和幸議員は、鴨田市長の説明を受けて、次のように述べました。
内容が悪かったなど、誰かの責任ということではなかったようであります。
そして、改めて中央図書館の建設を進めるよう求めて質問を終えました。
しかし、本当にそれで終わってよいのでしょうか。
3者すべてが辞退した以上、単に「残念だった」「次は頑張ってください」で済ませられる問題ではありません。
なぜ事業者側の見積もりと舞鶴市の積算に差が生まれたのか。
追加でいくら必要になるのか。
建設費が増えても、そのまま計画を進めるのか。
規模の縮小や計画の中止を検討しないのか。
市議会には、こうした問題を市民の立場から厳しく追及する役割があります。
図書館の充実と、巨大な新設計画は別問題です
「図書館建設を見直す」と言うと、図書館そのものに反対しているように受け取られることがあります。
しかし、図書館サービスの充実と、巨額の税金を投入して新しい中央図書館を建設することは別の問題です。
私は、図書館の役割を否定しているのではありません。
市民が本を読み、学び、交流できる環境は必要です。
だからこそ、豪華な建物にお金をかけるのではなく、本の充実、子どもの読書環境、移動図書館、高齢者や障害のある方への支援、現在の東西図書館の改善など、実際の図書館サービスに税金を使うべきではないでしょうか。
「新しい建物を造ること」と「図書館を良くすること」を、同じものとして扱ってはいけません。
今なら、まだ立ち止まることができます
工事の契約が成立し、建設が始まってからでは、計画を止めることは極めて難しくなります。
しかし今回は、3者すべてが辞退し、入札が取りやめになりました。
まだ工事は始まっていません。
今なら、計画を一度凍結し、最新の建設費と将来負担を市民に示したうえで、改めて必要性を判断できます。
この機会を逃して再入札を行い、建設費を上乗せして契約してしまえば、後戻りはさらに難しくなります。
今が、中央図書館の新設計画を止める最後のチャンスです。
11月の舞鶴市議選で市民の判断を
鴨田市長は、再公告に向けた内容について、次の12月定例会に間に合わせることを庁内の目標にすると答弁しました。
その前に行われるのが、11月の舞鶴市議会議員選挙です。
この市議選で問われるのは、単に「図書館に賛成か、反対か」ではありません。
建設費をさらに増額してでも中央図書館を建設するのか。
それとも、
一度立ち止まり、規模縮小、既存施設の活用、計画中止を含めて再検証するのか。
これは、舞鶴市の将来と市民の税金の使い道を決める重要な選択です。
私は、中央図書館の再入札を急ぐのではなく、計画をいったん凍結することを求めます。
そして、最新の建設費、維持管理費、市債の返済額、開館後の運営計画をすべて市民に公開し、市民が判断できる機会を設けるべきだと考えます。
人口減少が進む舞鶴市で、本当に優先すべきものは何なのか。
道路、上下水道、防災、医療、高齢者福祉、子育て支援よりも、巨大な中央図書館の新設を優先するのでしょうか。
市民の税金を守るため、中央図書館計画を11月の市議選の争点にします。
【資料】市議会での質疑・文字起こし
令和8年9月定例会第2日(令和8年9月10日)-2
舞鶴市立中央図書館の新設工事に係る入札取りやめについて
- 質問者:上羽和幸議員
- 回答者:鴨田秋津市長
- 映像:舞鶴市議会・令和8年9月定例会
【00:57:57~ 上羽和幸議員】
最後に、舞鶴市立中央図書館の新設工事に係る入札の取りやめについてであります。
中央図書館は令和8年度に債務負担行為を設定し、建築や設備、外構工事を行い、令和10年度には供用開始の予定でありました。
今回は、その施工を行う事業者の入札において、全者が辞退されたとのことであり、大変驚いているところでございます。
まず、その経過はどうであったのか、そして今後の対応も含めてお尋ねしたいと思います。
【00:58:53~ 鴨田秋津市長】
9月1日に開札を予定しておりました本工事の入札手続につきましては、関係法令等に基づき適正に執行し、参加資格確認申請の段階では、3者の共同企業体から参加申請がありましたが、最終的には全て辞退届が提出され、入札取りやめとなったところです。
このことで、事業の早期着工をお待ちいただいている皆様には、スケジュール上のご心配もおかけすることとなりまして、大変心苦しく思っております。
私自身も、本当に大きな、まちづくりの核となる図書館ですから、非常に不本意でございます。
その上で、参加申請をされていた3者の共同企業体が辞退に至った具体的な理由や背景について、それぞれの代表企業へヒアリングを行いました。
その結果、当初は入札参加の意思を持っていたが、入札に向けて詳細な検討を重ねる中で、採算が取れないと最終的に判断し、辞退となったとお聞きしたところでございます。
現状としては、この原因をしっかりと検証するとともに、速やかに次の手続きを進める準備をしておりますし、既に進めているという状況でございます。
【01:00:42~ 上羽和幸議員】
ありがとうございます。
3者全者でしたので、採算が取れないのかなというのは当然想像していたところでしたので、それを調査していただいたということですね。
詳細は、ここで中身まで言っていただくわけには恐らくいかないでしょうから、当然、それを調査していただいた上で再公告をしていただいて、中央図書館の建設を改めて進めていただくということになろうかと思います。
遅延なくお進めになればと思いますが、やはり少し気になりますので、次の報告はいつ頃できるのか。例えば12月議会に間に合うのか。
実際の供用開始も、どうしてもある程度遅れるでしょうから、それをどの程度見込んでおられるのか。まだそこまで調査が進んでいないのか。その辺についてもお答え願えますか。
【01:01:44~ 鴨田秋津市長】
まず、先ほどの「適正に執行した」というところを、もう少し掘り下げて説明させていただきたいと思います。
当初の積算については、定められた積算基準に基づいて、公表されている最新の単価等を用いて適正に算定したところでございます。
しかしながら、急激な資材価格の高騰や人件費の上昇など、市場環境の変化がものすごく速いスピードで続いております。
事業者が将来のリスク等も見込んでコストを算出した結果、辞退されたというふうに認識しているところでございます。
現在については、単価等も変わっておりますので、全て積算を行っていかなければならない状況でございます。
その上で、可能な限り早期に再公告を実施していきたいと考えております。
具体的な詰めを行い、しっかりと皆さんにお示しできる段階にはお話しさせていただきたいと思います。
今ご提案いただいたとおり、何とか次の12月定例会には間に合わせることを庁内の目標として掲げ、資産マネジメント課を中心に、組織を挙げて一日も早く報告ができるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
【01:03:21~ 上羽和幸議員】
中央図書館は多機能の図書館で、その完成を待っている方も当然たくさんいらっしゃいます。
そうでない方にも、出来上がった図書館をしっかり使用していただくことで、その理解を深め、活用していただけるように、我々も心待ちにしていたところでございます。
お聞きすると、内容が悪かったなど、誰かの責任ということではなかったようでありますけれども、結果として残念ながらこうなっています。
またご努力いただき、改めて図書館の建設に一層努力いただけますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

