最終更新日:2026年9月14日

【この記事の要約】

舞鶴市で行われたクマの緊急銃猟は、人命を最優先した現場対応として評価できる一方、全国報道のあり方には課題が残りました。

親子グマ、5kgの幼獣、殺処分後の個体まで強く報道されたことで、現場で積み重ねてきた対策よりも、感情を刺激する情報が先行したように感じます。

今回の件から全国の自治体が、「殺処分すると炎上するから公表しない方がいい」と学んでしまうことは避けるべきです。

必要なのは、派手に見せることでも、隠すことでもありません。
「何が起きたのか」「なぜその判断になったのか」を、自治体のホームページなどで淡々と説明すること。

舞鶴のクマ騒動を、行政広報のあり方を見直す教訓にする必要があると考えます。

舞鶴市で行われたクマの緊急銃猟をめぐり、全国からさまざまな意見が寄せられました。

私は今回の殺処分そのものについては、人命を最優先した判断として支持しています。

住宅地の民家にクマが居座り、周辺住民の安全確保が必要な状況であれば、行政が迅速に対応するのは当然です。

一方で、今回の騒動を見ていて、私は別の意味で強く気になったことがあります。

それは、今回の件を見た全国の自治体が、

「クマを殺処分すると炎上する。だったら詳しく公表しない方がいい」

と学んでしまわないか、ということです。

公表したから炎上した、では困る

今回の舞鶴市の事案では、

「親子とみられるクマ」
「25kgの成獣」
「5kgの幼獣」
「麻酔銃で捕獲」
「その後に殺処分」

といった情報が全国に広がりました。

さらに現場映像や、殺処分後の個体を写した報道まで出たことで、感情的な反応も一気に強まりました。

その結果、舞鶴市には多くの問い合わせや抗議が寄せられ、市長がカスタマーハラスメントへの対応まで発信する事態になりました。

ここで自治体側が、

「詳しく出したから面倒なことになった」

「殺処分したことは、なるべく表に出さない方がいい」

と考えるようになれば、それは大きな問題です。

私は、今回のような派手な見せ方は必要なかったと思う

私は今回の舞鶴市のように、現場の状況や殺処分後の個体まで含めて、大きく報道される必要はなかったと思っています。

クマ対策で最優先すべきなのは、市民の安全です。

必要なのは、

  • 地域住民への注意喚起
  • 道路規制
  • 警察や地域との連携
  • 現場の安全確保

です。

安全が確保された後に、

「どこで何が起きたのか」
「どのような危険があったのか」
「なぜ殺処分という判断になったのか」

を、行政として落ち着いて説明すればよかったのではないでしょうか。

派手に見せる必要はありません。

しかし、だからといって隠していいわけでもありません。

「炎上するから公表しない」は、もっと悪い

今回の件を見て、

「殺処分を公表すると抗議が来る。だったら公表しない方がいい」

という方向に進むのは、私はもっと問題だと思います。

行政として最低限、

  • 出没場所
  • 危険な状況だったのか
  • どんな対応をしたのか
  • なぜ捕獲や殺処分が必要だったのか
  • 他の方法は検討したのか
  • 今後の対策

といった内容は、自治体のホームページなどでしっかり公表するべきです。

つまり、

大々的に見せる必要はない。

しかし、

必要な情報まで隠してはいけない。

このバランスが大切だと思います。

必要なのは「殺したことを見せる」ことではなく「理由を説明する」こと

行政がやるべきなのは、

「殺処分しました」

と大きく見せることではありません。

一方で、

「詳しく言うと批判されるから黙っておこう」

でもありません。

必要なのは、

「なぜ、その判断になったのか」

を説明することです。

今回の舞鶴市には、その説明材料がかなりありました。

私は以前、舞鶴市の有害鳥獣対策について情報公開請求をしています。

開示された資料は275ページに及びました。

そこには、長年にわたるクマの出没情報、現地確認、警察との連携、パトロール、追い払い、わなの設置、捕獲など、かなり細かい対応記録が残されていました。

つまり今回、

「クマが出たから、いきなり殺した」

わけではありません。

何年も前からクマの出没に対応し、危険性を見極め、必要に応じて追い払い、捕獲し、その延長線上で今回の緊急銃猟があった。

私は、この背景を最初から丁寧に説明していれば、受け止められ方はかなり違ったと思っています。

現場は頑張っていたのに、広報で損をした

私は今回、農林課の現場対応そのものは評価しています。

出没情報を記録し、警察や地域と連携し、追い払い、パトロール、捕獲まで続けてきた。

有害鳥獣対策には大きな予算も使われています。

出没地域では、地域役員が警戒し、警察もパトロールしています。

つまり、現場では相当な手間と人員を使って対応しているわけです。

それなのに、

「親子グマ」
「5kgの幼獣」
「殺処分」

という強い情報だけが先に広がったことで、

「舞鶴市は何も考えずにクマを殺した」

というような印象を持たれた人もいたのではないでしょうか。

これは非常にもったいないことです。

私は今回の問題は、

現場が仕事をしていなかったことではなく、現場の仕事を伝える広報に失敗したこと

だと思っています。

全国の自治体が学ぶべきなのは「隠すこと」ではない

今回の騒動を見た全国の自治体が、

「殺処分すると炎上するから、公表しない方がいい」

と学んでしまうことを私は一番心配しています。

それでは行政の透明性が後退します。

市民は何が行われたのか分からなくなり、情報公開請求をしなければ実態が見えない行政になってしまいます。

それでは、かえって信頼は失われます。

今回の舞鶴市の件から学ぶべきなのは、

「だから隠そう」

ではありません。

かといって、

「もっと派手に見せよう」

でもありません。

必要なのは、

派手な広報はしない。
しかし、必要な事実と判断理由はきちんと公表する。

この姿勢だと思います。

市民側にも求められることがある

行政だけではなく、市民側にも考えるべきことがあります。

クマを殺処分したという事実を見て、

「かわいそう」

と感じるのは当然です。

しかし、それだけで判断するのではなく、

なぜその状況になったのか
どんな危険があったのか
他の方法は可能だったのか
現場では何が行われていたのか

まで見てから意見を持つことも必要ではないでしょうか。

行政には説明責任があります。

市民側には、説明を聞いたうえで判断する姿勢が必要です。

舞鶴のクマ騒動を「公表したら炎上した」で終わらせてはいけない

今回の舞鶴市のクマ騒動から、全国の自治体が学ぶべきことは明確です。

大々的に見せる必要はない。
しかし、必要な情報まで隠してはいけない。

現場の安全を最優先し、その後、自治体のホームページなどで、

何が起きたのか
なぜその判断になったのか
これまでどんな対策をしてきたのか
今後どうするのか

を淡々と説明する。

私は、それで十分だと思います。

今回の騒動を、

「公表したら炎上した」

で終わらせるのではなく、

「広報の仕方ひとつで、正しい現場対応まで誤解される」

という教訓にするべきです。

全国の自治体が今回の件から学ぶべきなのは、

「だから隠そう」ではなく、
「派手に見せず、必要なことはきちんと説明しよう」

ということではないでしょうか。

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