この記事の要約

  • 酒気帯び運転の疑いで摘発された加佐診療所長に、舞鶴市は停職4カ月の懲戒処分を行いました。
  • 停職中は無給ですが、医師としての身分は残ります。
  • 私は、市民の命を預かる診療所長という立場を考えれば、懲戒免職が妥当な事案だと考えます。
  • 「総合的に判断した」だけでは、なぜ停職4カ月なのか市民には分かりません。
  • 医師不足が処分に影響したのかを含め、舞鶴市は判断基準と決定過程を具体的に説明すべきです。

加佐診療所長を停職4カ月の懲戒処分

舞鶴市は2026年7月31日、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで摘発された、市立舞鶴市民病院加佐診療所所長の70代男性医師を、停職4カ月の懲戒処分にしたと発表しました。

報道によると、医師は6月14日に三重県内で摘発され、舞鶴市は6月18日付で診療業務から外していました。

市は当初、刑事処分が確定してから処分する予定でしたが、「総合的に判断した」として、刑事処分の確定前に懲戒処分を行ったということです。

また、舞鶴市は今後、対策チームを設置して再発防止策を取りまとめるとしています。

出典:酒気帯び運転 舞鶴市民病院加佐診療所の所長が停職4カ月

市民の方から疑問が寄せられました

今回の処分について、市民の方から次のようなご意見が寄せられました。

交通事故が起こる前に摘発されたことは幸いですが、停職4カ月という処分は甘すぎるのではないでしょうか。

市立診療所の所長という立場を考えれば、懲戒免職が妥当ではないかと思います。

なぜ、このような処分になったのか、舞鶴市から詳しい説明が必要だと思います。

もっともな疑問だと思います。

私は停職4カ月では甘すぎると考えます

結論から申し上げると、私は停職4カ月という処分は緩すぎる、甘い処分だと考えています。

交通事故や負傷者が出なかったことは、本当に幸いでした。

しかし、それは結果論です。

酒気を帯びた状態で車を運転すれば、重大な事故を起こし、無関係な人の命を奪っていた可能性があります。

「事故を起こさなかったから軽くてよい」という話ではありません。

危険な状態で車を運転した行為そのものが、厳しく問われなければなりません。

市民の命を預かる診療所長です

今回処分されたのは、一般の職員ではありません。

市立舞鶴市民病院加佐診療所の所長として、市民の命と健康を預かっていた医師です。

医師には、患者の生命を守る専門職として、高い倫理観と責任が求められます。

さらに診療所長は、組織を管理する立場でもあります。

人の命を守る立場にある人物が、酒気帯び運転によって他人の命を危険にさらしたことは、非常に重い問題です。

職責が高ければ高いほど、社会的責任も重くなるのが当然ではないでしょうか。

停職中は無給でも身分は残ります

舞鶴市の条例では、停職期間は1日以上6カ月以下と定められています。

停職中は給与が支給されませんが、職員としての身分は残ります。

つまり、停職4カ月という処分は、4カ月間は無給になるものの、懲戒免職とは異なり、処分終了後に職務へ復帰する可能性が残されているということです。

出典:舞鶴市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例

酒気帯び運転は必ず免職になるわけではない

法律上、酒気帯び運転をした公務員が、必ず懲戒免職になるわけではありません。

人事院の懲戒処分指針では、国家公務員の酒気帯び運転について、標準的な処分を「免職、停職または減給」としています。

個別の処分は、行為の態様や結果、本人の職責、社会に与えた影響、過去の処分歴、違反後の対応などを考慮して決定されます。

出典:人事院「懲戒処分の指針について」

したがって、「酒気帯び運転なら法律上当然に懲戒免職」というわけではありません。

しかし、だからこそ舞鶴市には、なぜ今回は懲戒免職ではなく停職4カ月だったのかを具体的に説明する責任があります。

京都府は飲酒運転を原則免職としています

一方、京都府職員の懲戒処分指針では、飲酒運転を行った職員について、原則として免職とする厳しい基準が設けられています。

緊急避難に相当する事情や、飲酒後かなりの時間が経過し、本人に飲酒運転の認識がなかった場合などには軽減できるとされていますが、基本は免職です。

出典:京都府「懲戒処分指針」

この京都府の基準が、そのまま舞鶴市に適用されるわけではありません。

しかし、同じ京都府内の公務員に対する判断基準として、重要な比較材料になります。

京都府が飲酒運転を原則免職としている一方で、なぜ舞鶴市は停職4カ月としたのでしょうか。

この違いについて、市民が納得できる説明が必要です。

医師不足は処分を軽くする理由になるのか

加佐地域の医療を支える医師が不足していることは、舞鶴市にとって大きな問題です。

しかし、医師不足と懲戒処分の妥当性は、分けて考えなければなりません。

もし「代わりの医師がいない」「診療所の運営が困る」という事情によって処分が軽くなったのであれば、それは問題です。

必要な人材なら、不祥事を起こしても組織に残す。

そのような判断が許されれば、市民から見て「立場や資格によって処分が変わるのか」という不信につながります。

人材不足だからこそ、1人の医師に依存しない医療体制をつくることが、舞鶴市の責任です。

医師不足を理由に、本人の責任を軽くすることは筋が違います。

「総合的に判断した」では説明になりません

舞鶴市は、今回の処分について「総合的に判断した」と説明しています。

しかし、それだけでは市民には何も分かりません。

少なくとも、次の点を明らかにすべきです。

  • 酒気帯びの程度はどの程度だったのか
  • 飲酒から運転までの経緯はどうだったのか
  • 運転した距離や時間はどの程度だったのか
  • どの懲戒処分基準を適用したのか
  • なぜ免職や停職6カ月ではなく、停職4カ月だったのか
  • 診療所長という職責をどのように評価したのか
  • 医師不足や診療所の運営事情が処分に影響したのか
  • 処分決定に当たり、どのような審査を行ったのか
  • 停職期間終了後、診療所長として復帰させる予定なのか

「総合的に判断した」は便利な言葉ですが、説明を省略するための合言葉になってはいけません。

「口利きがあった」と断定はできません

今回、市民の方からは「誰かの口利きによって処分が軽くなったのではないか」という疑問も寄せられました。

しかし、現時点では、そのような事実を裏付ける資料は確認できていません。

したがって、口利きがあったと断定することはできません。

ただし、市が判断基準や決定過程を十分に説明しなければ、市民の間に「何か特別な事情があったのではないか」という疑念が生まれるのも当然です。

疑念を解消する責任は、市民ではなく舞鶴市にあります。

私は懲戒免職が妥当だと考えます

私は、今回の事案については、医師不足という事情があったとしても、懲戒免職が妥当だったと考えています。

事故や被害者が出なかったからよかった、停職4カ月で十分だ、とは思いません。

まして、市民の命と健康を預かる市立診療所の所長です。

一般の職員以上に厳しい責任が求められる立場ではないでしょうか。

少なくとも舞鶴市は、停職4カ月とした具体的な根拠を、市民が判断できる形で公表すべきです。

判断過程を調査します

私は今後、次の資料について調査したいと考えています。

  • 舞鶴市の懲戒処分基準・量定基準
  • 処分決定に使用した起案書・決裁文書
  • 懲戒処分に関する審査会等の資料
  • 処分理由を記載した文書
  • 医師不足や診療体制に関する検討資料
  • 停職期間終了後の配置や復帰方針

個人情報は守らなければなりません。

しかし、公務員の懲戒処分がどのような基準と手続で決められたのかは、市民に説明されるべき行政情報です。

再発防止策をつくるだけでは十分ではありません。

まず必要なのは、なぜ今回の処分が停職4カ月だったのかを明らかにすることです。

医師不足を言い訳にせず、市民の命を預かる組織として、厳正で公平な対応を求めます。

市民の税金を守り、当たり前の行政を取り戻すために、引き続き調査していきます。

森本たかし

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