この記事の要約

舞鶴市が任用した吉田康人参事は、アルバイトや非常勤職員ではなく、週5日勤務の一般任期付職員です。任期は1年間で、通常年度換算の年間支給額は約931万円。さらに退職手当も支給されますが、その具体的な金額は開示資料に記載されていません。

吉田参事の年間支給額は、報道された鴨田市長の2025年給与所得848万円を約83万円上回る計算です。ただし、「給与所得」と「年間支給額」では条件が異なるため、単純な年収比較には注意が必要です。

最大の問題は高待遇そのものではありません。なぜ吉田氏を採用したのか、どのような専門性を評価したのか、具体的に何を担当し、1年間でどのような成果を求めるのかを確認できる資料が、ほとんど示されていないことです。任用に関する協議記録についても、市は「作成しておらず存在しない」と回答しています。

また、市長が吉田氏と旧統一教会との関係を「問題ない」と判断した根拠資料は不開示です。略歴書には年月の矛盾もあり、任用時の確認が十分だったのか疑問が残ります。

年間約931万円に加えて退職手当まで支給する参事に、舞鶴市は何を任せ、どのような成果を求めているのでしょうか。市長だけでなく、公費支出を審査する市議会にも、市民への説明責任があります。

舞鶴市議会で統一教会との関係が指摘された参事の吉田康人氏にいて情報公開請求で調査いたしました。

舞鶴市が情報公開した資料を確認したところ、吉田康人氏は、1年間の任期で採用された市役所幹部の「参事」であることが分かりました。

通常年度に換算した年間支給額は約931万円。さらに退職手当も支給されます。

一方、開示資料からは、吉田氏を採用した具体的な理由、選考過程、担当業務、成果目標などが十分に確認できません。

問題は、給与が高いことだけではありません。

これほどの待遇で任用する必要性と、何を任せるために採用したのかを、市長と市議会が市民に説明できるのか。

そこが最大の論点です。


吉田氏はアルバイトではない

吉田康人氏は、アルバイトや非常勤職員ではありません。

法律上は一般職の地方公務員に分類される「一般任期付職員」です。

任用条件は、次のようになっています。

  • 役職:参事
  • 任期:令和8年4月1日から令和9年3月31日まで
  • 勤務日数:週5日
  • 勤務時間:午前8時30分から午後5時15分まで
  • 給料表:行政職給料表8級
  • 退職手当:支給あり

つまり、1年間限定ではありますが、週5日勤務のフルタイムで採用された市役所幹部です。

民間企業で例えるなら、期限付きで外部から招かれた高待遇の幹部・専門職に近い立場です。


通常年度換算の年間支給額は約931万円

吉田参事の月額給与と手当は、次のとおりです。

項目月額
給料40万9,200円
管理職手当8万1,840円
地域手当2万8,644円
住居手当2万8,000円
合計54万7,684円

月額54万7,684円を12カ月分にすると、年間657万2,208円です。

6月の期末・勤勉手当は、4月採用のため30%に減額され、41万922円となっています。

これを100%支給に換算すると、次の計算になります。

41万922円 ÷ 30%=約136万9,740円

通常年度の年間支給額を計算すると、次のようになります。

項目金額
月額給与・手当の年間合計657万2,208円
6月期末・勤勉手当(100%換算)約136万9,740円
12月期末・勤勉手当136万9,742円
年間支給額約931万1,690円

したがって、吉田参事の給与水準は、通常年度換算で年間約931万円となります。

これ以外にも、通勤手当や舞鶴市が負担する共済費などが加わる可能性があります。


舞鶴市長を上回る給与水準

新聞記事では、鴨田秋津舞鶴市長の2025年の給与所得は848万円と報じられています。

一方、吉田参事の通常年度換算の年間支給額は約931万円です。

比較対象金額
鴨田舞鶴市長の2025年給与所得848万円
吉田参事の通常年度換算額約931万円
差額約83万円

比較すると、吉田参事の通常年度換算額は、市長の2025年給与所得を約83万円上回ります。

ただし、市長の数字は新聞記事に掲載された「給与所得」、吉田参事は給与条件から計算した「年間支給額」です。

比較条件が完全に同じとは限らないため、単純に「吉田参事の年収は市長より高い」と断定するのではなく、

「吉田参事の通常年度換算の年間支給額は、市長の2025年給与所得を約83万円上回る」

と表現するのが正確です。


市長は退職金を受け取らないが、参事は「支給あり」

鴨田市長は、退職金を受け取らない方針を示しています。

一方、吉田参事の勤務条件には、

「退職手当 支給あり」

と明記されています。

ただし、開示された資料には、次の情報が記載されていません。

  • 退職手当の見込額
  • 支給率
  • 計算式
  • 1年間勤務した場合の支給予定額
  • 個別の算定明細

したがって、現時点で確認できるのは、

吉田参事には退職手当が支給されるが、その具体的な金額は分からない

というところまでです。

市長は退職金を受け取らず、任期1年の参事には退職手当が支給される。この待遇差についても、説明が必要ではないでしょうか。


高待遇そのものが問題なのではない

私は、高い専門能力を持つ人材に高い給与を支払うこと自体を、否定するものではありません。

舞鶴市にとって本当に必要な専門家であり、その待遇に見合う成果が期待できるのであれば、市民に説明すればよいのです。

しかし、開示資料からは、次の重要事項がほとんど確認できません。

  • どのような専門知識や経験を評価したのか
  • なぜ市役所内部の職員では対応できないのか
  • なぜ吉田氏でなければならなかったのか
  • 誰が吉田氏を推薦したのか
  • どのような選考を行ったのか
  • 面接や審査を実施したのか
  • 具体的に何を担当するのか
  • 1年間でどのような成果を求めるのか
  • 成果をどのように評価するのか

任用決裁に記載されているのは、任期、役職、給与などが中心です。

年間約931万円に加えて退職手当まで支給する人物を、なぜ参事として採用したのか。

その最も重要な理由が見えてきません。


任用を決めた協議記録は「作成しておらず不存在」

情報公開請求では、吉田氏の任用について、市長、市幹部、担当部署、関係者との間で行われた協議、確認、調査、照会、報告、説明などに関する文書も求めました。

これに対する舞鶴市の回答は、

「当該行政文書は、作成しておらず存在しない」

というものでした。

市長に匹敵する給与水準の参事を採用するにもかかわらず、

  • 誰が連れてきたのか
  • どのような協議をしたのか
  • なぜ採用する必要があったのか
  • どのような仕事を任せるのか

といった判断過程を確認できる記録が存在しないことになります。

口頭だけで決めたのでしょうか。

それとも、協議は行ったものの記録を残さなかったのでしょうか。

どちらであっても、公費を使う人事として適切だったのか、検証が必要です。


統一教会との関係を「問題ない」とした根拠は不開示

鴨田市長は、吉田氏と旧統一教会との関係について、

「20年以上前に関係を断ち切っており、全く問題ない」

という趣旨の説明をしています。

そこで、市長がそのように判断した根拠となる資料についても、情報公開請求を行いました。

具体的には、

  • 本人への聞き取り記録
  • 調査資料
  • 本人の申告書
  • 宗教団体等との関係を確認した資料
  • 市長発言の根拠となった文書

などです。

これに対して舞鶴市は、「不存在」とは回答せず、個人情報や人事管理上の情報であることを理由に不開示としました。

つまり、現段階では、

  1. 市長発言の根拠となる何らかの資料は存在するが、公開されていない
  2. 実質的な根拠資料がないまま、請求項目全体を不開示としている

このどちらなのかも分かりません。

この資料だけで、吉田氏が現在も統一教会と関係していると断定することはできません。

しかし、市長が何を確認し、何を根拠に「全く問題ない」と判断したのかが、市民から見えないことは事実です。


略歴書には年月の矛盾もある

開示された略歴書には、

「令和7年10月~令和7年2月」

と記載されている箇所があります。

令和7年10月から令和7年2月では、終了時期が開始時期より前になり、時系列として成立しません。

単純な記載ミスの可能性はありますが、正式な任用資料である以上、経歴確認がどの程度行われたのか疑問が残ります。

高待遇の幹部職員を採用する資料で、こうした基本的な矛盾が訂正されないまま決裁されていることも、軽視できません。


議会には検証できる資料があったのか

吉田参事の任命は、市長の人事権に属します。

しかし、議会には、予算と公費支出を審査し、市長や執行部を監視する責任があります。

市長に匹敵する給与水準で、退職手当も支給される参事を任用するのであれば、議会は少なくとも次の事項を確認すべきです。

  • 具体的な職務と権限
  • 必要とされる専門性
  • 吉田氏を選んだ理由
  • 推薦者と選考過程
  • 旧統一教会との関係について何を確認したのか
  • 市長が「問題ない」と判断した根拠
  • 1年間の成果目標
  • 約931万円の支給に見合う必要性

こうした資料が議会にも提出されていないのであれば、議会は何を根拠に公費支出を審査したのでしょうか。

問題は二つあります。

一つ目は、市長と執行部が十分な説明資料を作成・提出していない可能性です。

二つ目は、市議会が必要な資料を求めず、十分に検証していない可能性です。

資料が提出されなかったのか。

それとも、議会が資料を求めなかったのか。

どちらであっても、市長と議会の双方に説明責任があります。


市役所内のモラルハザードにつながらないか

市長に匹敵する給与水準の外部人材を任用する一方で、その理由や成果目標が職員に説明されなければ、市役所内部に不公平感が生まれるおそれがあります。

長年勤務してきた職員から見れば、

「なぜ外部から来た任期1年の人物が、これほどの待遇を受けるのか」

という疑問を持つのは当然です。

その結果、次のような影響が考えられます。

  • 真面目に働く職員の意欲が低下する
  • 人事や待遇に対する不信感が広がる
  • 実績よりも市長との関係で人事が決まるという疑念を招く
  • 参事、担当職員、市長の間で責任の所在が曖昧になる
  • 成果が出なくても、任期満了だけで検証が終わる

問題は、吉田参事個人の給与だけではありません。

任用理由も成果目標も見えないまま、責任の所在が曖昧な高待遇を認めることが、市役所全体のモラルハザードにつながる可能性があります。


問題の核心は説明責任

今回の情報公開資料から確認できたのは、次の事実です。

  • 吉田氏は、任期1年の一般任期付職員として参事に任用された
  • アルバイトや非常勤ではなく、週5日勤務の市役所幹部である
  • 通常年度換算の年間支給額は約931万円
  • 退職手当も支給される
  • 具体的な退職手当額は資料に記載されていない
  • 任用理由や選考過程を示す記録は「作成しておらず不存在」
  • 具体的な職務や成果目標が明確に示されていない
  • 市長が旧統一教会との関係を「問題ない」と判断した根拠資料は不開示
  • 略歴書には年月の矛盾がある
  • 議会が何を根拠に人件費を審査したのか確認できない

問題の核心は、次の一点に集約されます。

市長に匹敵する給与水準と退職手当を用意し、誰が吉田氏を招き、何を確認し、どの専門性を評価し、舞鶴市で何を達成させるために参事へ任用したのか。その判断を裏付ける資料を、なぜ市民や議会に示せないのでしょうか。

高待遇であること自体を問題にしているのではありません。

それほど重要な人物であり、舞鶴市に必要な専門家だというのであれば、市長は任用理由、具体的な仕事、成果目標を市民に説明すべきです。

そして市議会も、年間約931万円に加えて退職手当まで支給する公費の使い方を、何を根拠に認めたのか説明すべきです。

説明できない高待遇を、市民の税金で認めてよいのでしょうか。

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