
奈良市議会で、市議会議員によるSNS利用のガイドライン策定が進められています。
対象となるのは、XやFacebook、Instagramだけではありません。ガイドライン案では、ブログ、YouTube、LINEなどもソーシャルメディアとして定義されています。つまり、議員個人によるインターネット上の情報発信を、かなり広く対象としたルールです。(奈良市公式サイト)
私は、議員のSNS利用に一定のガイドラインを設けること自体には反対ではありません。
しかし、曖昧なルールによって、議員による行政監視や政策批判まで制限されることがないよう、十分な注意が必要だと思います。
SNS利用にルールが必要なのは理解できます
現在、SNSは市民に情報を伝える重要な手段になっています。
一方で、SNSには、
- 誤った情報が急速に拡散する
- 個人情報が流出する
- 著作権や肖像権を侵害する
- 感情的な投稿が誹謗中傷につながる
- 議員個人の意見が議会全体の見解だと誤解される
といった危険もあります。
市民から選ばれた議員が情報発信する以上、事実確認を行い、個人情報や著作権に配慮し、自分の発言に責任を持つのは当然です。
奈良市議会のガイドライン案にも、議員としての自覚と責任を持つこと、肖像権、プライバシー権、著作権、商標権などに配慮することが基本原則として盛り込まれています。(奈良市公式サイト)
こうした基本的なルールについては、私も必要だと思います。
問題は、曖昧な言葉がどう運用されるか
しかし、ガイドラインは作り方を間違えると、全く違う性格のものになります。
たとえば、
議会の品位を損なう発信
市民に誤解を与える発信
議会の信頼を低下させる発信
他の議員に影響を与える切り抜き動画
こうした曖昧な表現が使われた場合、何が違反に当たるのかは、判断する側の解釈次第になってしまいます。
行政の事業を厳しく批判すれば、
「市民に誤解を与えた」
市長や議員の発言を検証すれば、
「議会の信頼を傷つけた」
議会中継の一部を紹介すれば、
「印象を操作する切り抜きだ」
と言われる可能性があります。
もちろん、事実を故意にねじ曲げるような切り抜きは問題です。
しかし、公開された議会映像を引用し、議員の発言を市民に分かりやすく紹介したり、批評したりすることまで規制されれば、それはSNS利用の適正化ではありません。
議員の言論活動に対する規制になってしまいます。
議会映像の使用制限も議論されています
奈良市議会の作業部会では、議会中継映像の使用についても協議されています。
資料には、著作権法上の引用ルールに従って使用する案のほか、より強い規制として、議員が使用できる範囲を「自分自身の質疑に関係する部分だけ」に限定する案も示されています。(奈良市公式サイト)
仮にこのような制限が導入されれば、ある議員が市長や別の議員の発言を検証しようとしても、その映像を自由に紹介できなくなる可能性があります。
しかし、議会中継は、そもそも市民に議会活動を知らせるために公開されているものです。
著作権や引用ルールを守るのは当然ですが、公開された議会映像について、議員だけに過度な制限を課すことが適切なのかは、慎重に議論する必要があります。
議員は議会を宣伝する広報職員ではありません。
議会や行政を監視し、問題があれば市民に知らせることも、議員の大切な役割です。
議員は議会という組織の従業員ではない
市議会議員は、市議会という組織に雇われている従業員ではありません。
市長の部下でもなければ、議長の部下でもありません。
市民から直接選挙で選ばれ、それぞれが独立した立場で政治活動を行う存在です。
当然、議員一人ひとりで考え方は違います。
行政を評価する議員もいれば、厳しく批判する議員もいる。
大型事業に賛成する議員もいれば、税金の無駄遣いだと反対する議員もいる。
その違いを市民が知り、次の選挙で判断するためにも、議員個人による情報発信は必要です。
議会多数派が、自分たちに都合の悪い発信を、
「議会の品位を損ねた」
「議会の信頼を低下させた」
という理由で抑え込めるような制度にしてはいけません。
それは議会を守るルールではなく、議会を市民の監視から守る防火壁になってしまいます。
市民に見せたくないものを隠すルールになってはいけない
SNSでは、ときに刺激的な言葉が使われます。
議員同士の激しい対立や、行政に対する厳しい批判も起きます。
だからといって、批判そのものをなくせばよいという話ではありません。
むしろ地方議会では、市長の提案や行政の説明に賛成する意見ばかりが並び、反対意見や問題点が市民に伝わらないことの方が深刻です。
ルールが必要なのは、
- 虚偽情報
- 個人情報の漏えい
- 差別的な表現
- 脅迫
- 明確な誹謗中傷
- 著作権侵害
などです。
一方で、
- 政策への批判
- 予算の検証
- 行政事業への反対意見
- 市長や議員の公的発言への論評
- 公開資料や議会映像を用いた解説
まで規制してはいけません。
誹謗中傷と政治的批判は、明確に分ける必要があります。
批判された側が不快に感じたからといって、それだけで違反になるようなルールでは、まともな行政監視はできません。
私が市議会議員になった後も「やばいぜ舞鶴」は続けます
この問題は、私にとって他人事ではありません。
私は現在、YouTubeやブログを通じて「やばいぜ舞鶴」という情報発信を続けています。
舞鶴市の予算や事業、議会、市長や市議会議員の発言を調べ、問題があると考えれば市民の皆さんに伝えています。
私は、2026年の舞鶴市議会議員選挙への立候補を予定しています。
市議会議員になった後、同様のSNSガイドラインが舞鶴市議会で導入された場合、「やばいぜ舞鶴」の発信が制限される可能性についても考えておかなければなりません。
しかし、私は議員になるために発信しているのではありません。
舞鶴市を立て直すために発信しています。
議員になった途端に行政への批判をやめたり、議会内部の空気を読んで発信を弱めたりすれば、これまで応援してくださった皆さんを裏切ることになります。
市議会議員になった後も、公開された資料や議会での発言を調べ、税金の使い方を検証し、問題点を市民に伝えます。
もちろん、個人情報や守秘義務は守ります。
事実確認を行い、根拠資料を示し、事実と私の意見をできる限り分けて発信します。
間違いがあれば訂正します。
しかし、
議会に都合が悪い
行政にとって耳が痛い
市長や議員が批判されたくない
という理由で発信をやめるつもりはありません。
「やばいぜ舞鶴」の活動は守ります
議員のSNSガイドラインは、議員の暴走を防ぐためのものであるべきです。
行政監視や言論活動を封じるためのものであってはいけません。
必要なのは、発信を一律に規制することではなく、次のような公平な原則です。
- 公開情報に基づく政治的批判は保障する
- 政策や予算への批判を誹謗中傷と混同しない
- 違反認定を議長や多数派だけで決めない
- 対象となる投稿と違反条項を具体的に示す
- 本人に説明と反論の機会を与える
- 審査過程を公開する(YouTubeによるライブ配信)
- 議員の政治活動と言論の自由を明記する
ルールを守ることと、議会に従順になることは別です。
私は、根拠のない情報や誹謗中傷を発信するつもりはありません。
しかし、市民の税金の使い方を調べ、問題を指摘し、改善案を示す活動は、市議会議員になった後も続けます。
「やばいぜ舞鶴」は、単なる批判のための媒体ではありません。
舞鶴市政を市民に見える形にし、問題を指摘し、立て直すための情報発信です。
この活動を、曖昧なガイドラインによって封じられることがないよう、私はしっかり守っていきます。
SNSガイドラインは必要です。
しかし、そのガイドラインが、議会や行政にとって都合の悪い声を消すための「言論封じ」になってはいけません。
市民から選ばれた議員が、市民に事実を伝え、自分の考えを述べる。
その当たり前の権利を守ることは、議員個人のためではありません。
市民の知る権利と、地方自治を守るために必要なことなのです。

