
舞鶴市は、衣類のリユースを進める取り組みを始めました。
舞鶴市のホームページによると、2026年7月9日から、市役所本庁、西支所、加佐分室、中総合会館、大浦会館、リサイクルプラザの市内6カ所に「衣類リユース回収ボックス」が設置されています。
回収対象は、洗濯済みで、まだ着ることのできる衣類です。
舞鶴市は、捨てられる衣類が市民1人当たり年間4.4キログラムに上り、その多くが焼却されていると説明しています。衣類を捨てずに次の人へ届けることで、CO₂の削減やごみ処理費の抑制につなげる取り組みです。
市のホームページでは、この回収ボックスを単なるごみ箱ではなく、**「次の人へ衣類を届けるための箱」**と紹介しています。
衣類を捨てずに再利用することは、環境のためにも、ごみを減らすためにも素晴らしい取り組みだと思います。舞鶴市「衣類リユース回収ボックスをご利用ください!」
しかし、舞鶴市民の皆さまは、この取り組みに107万3千円の予算が計上されていることをご存じでしょうか。
問題は、衣類のリユースが良いか悪いかではありません。
舞鶴市内では、しまむら、アベイル、アルペンなどの民間事業者が、すでに衣類の無料回収を行っています。メルカリやジモティー、リユース店を利用すれば、まだ着られる衣類を売ったり、必要な人へ直接譲ったりすることもできます。
こうした民間の仕組みが整っている中で、なぜ舞鶴市が107万3千円の税金を使い、同じような衣類回収を行う必要があるのでしょうか。
今回は、舞鶴市の衣類リユース促進事業について、民間サービスとの重複や税金の使い方を検証するとともに、税金をできるだけ使わず、衣類のリユースを継続的に広げる方法を提案します。
この記事の要約
衣類を捨てずに再利用する舞鶴市の取り組みには賛成です。 環境負荷や焼却ごみを減らすという目的も理解できます。
しかし、この事業には107万3千円の税金が使われています。
舞鶴市内では、しまむら、アベイル、アルペンなどが、すでに衣類の無料回収を実施しています。 メルカリやジモティー、リユース店を利用すれば、不要な衣類を売ったり、必要な人へ譲ったりすることもできます。
民間の仕組みが整っている中で舞鶴市が回収事業を行うなら、 民間との違い、107万3千円の内訳、試行事業の結果、費用対効果を市民へ説明する必要があります。
森本たかしの提案
行政が自ら回収事業を抱えるのではなく、市内の民間回収先を広報し、市民へ
「売る・譲る・回収に出す」
という選択肢を分かりやすく案内するべきです。
その方が、税金を抑えながら継続的なリユースにつながると考えます。
リユースそのものには賛成です
私は、衣類のリユースやリサイクルに反対しているわけではありません。
まだ着られる服をごみとして燃やすのではなく、必要としている人に使ってもらうことは、環境にも家計にも良い取り組みです。
環境省も2026年3月に「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定し、家庭から廃棄される衣類を2030年度までに2020年度比で25%削減する目標を掲げています。
その方向性も、
- 全国どこでも分けて出せる
- 使えるものは譲る
- 使えるものは長く使う
というものです。
衣類の再利用は、過去のSDGsブームで終わった話ではありません。現在も取り組むべき課題です。環境省のアクションプラン
しかし、問題は「リユースが良いか悪いか」ではありません。
舞鶴市が税金を使って直接回収する方法が、現在でも最も効果的なのかという点です。
舞鶴市は107万3千円を予算化
舞鶴市は令和8年度予算に「衣類のリユース促進事業費」として107万3千円を計上しました。
財源は、きょうと地域連携交付金50万円と、市の一般財源57万3千円です。府の交付金も元をたどれば税金ですから、事業費107万3千円はすべて公費です。
市は2026年7月9日から、市役所本庁、西支所、加佐分室、中総合会館、大浦会館、リサイクルプラザの6カ所に回収ボックスを新設しました。
ただし、衣類回収そのものは以前から清掃事務所で行われています。まったく新しい事業というより、既存の回収を市内各地へ拡大した事業と見るべきでしょう。舞鶴市の回収案内
すでに民間の無料回収が始まっています
舞鶴市内では、民間事業者による衣類回収がすでに行われています。
しまむらグループは2026年7月21日から、一部店舗を除く全店舗で衣料品の常時回収を開始しました。
舞鶴市内には「しまむら西舞鶴店」と「アベイル西舞鶴店」があります。しまむらグループ以外で購入した衣類も回収対象です。
回収した衣類は、着られるものは国内外で再販売され、リユースが難しいものは服から服へのリサイクルなどに回されます。しまむらグループの衣類回収
アルペングループも全店舗で衣類を回収しています。他店で購入した衣類も対象で、着られる衣類はリユース、着られない衣類は素材や繊維へ再生されます。
舞鶴市内にはアルペン舞鶴店があります。アルペングループの衣類回収
ほかにも、ユニクロや無印良品などが、自社・グループ商品の回収に取り組んでいます。
民間で無料回収できる場所が増えている中、舞鶴市が税金を使って同じような回収ボックスを増やすのであれば、民間では対応できない地域や品目を補完するなど、行政にしかできない役割を明確にする必要があります。
まだ着られる服なら、まず「売る・譲る」
舞鶴市の回収対象は「清潔で、まだ着ることのできる衣類」です。
しかし、まだ着られる衣類であれば、回収ボックスへ入れる前に別の選択肢があります。
- メルカリなどで売る
- ジモティーで地域の人に譲る
- リユース店へ持ち込む
- 家族や知人へ譲る
- 民間店舗の回収ボックスへ持ち込む
売ることができれば、市民の収入になります。
無料でも必要な人に直接譲ることができれば、回収、運搬、選別にかかる費用や環境負荷も抑えられます。
まだ使えるものを、そのまま次の人に使ってもらうことが、本来のリユースです。
何でも回収ボックスへ入れて海外へ送ることだけが、リユースではありません。
試行事業の結果が公表されていません
舞鶴市は清掃事務所での衣類回収を、当初は試行事業として始めています。
その際には、回収量、CO₂削減量、市の負担額、費用対効果などを検証すると説明していました。
ところが、市のホームページで確認できる範囲では、次の重要な数字が公表されていません。
- 試行期間中に何トン回収したのか
- 何%がリユースされたのか
- 何%がリサイクル・廃棄されたのか
- 焼却ごみをどれだけ減らせたのか
- 実際に削減できたCO₂の量
- 1キログラム当たりの回収経費
- 回収衣類の売却収入は誰に帰属するのか
- 107万3千円の具体的な積算内訳
107万3千円が直ちに高すぎると断定するには、積算内訳の確認が必要です。
しかし、試行結果や費用対効果を示さないまま、民間と重複する事業に税金を投入することは問題です。
舞鶴市の説明
舞鶴市は、衣類の製造や焼却には多くのエネルギーが必要であり、リユースを進めることでCO₂とごみ処理費を削減できると説明しています。
市のホームページによると、舞鶴市で捨てられる服は年間1人当たり4.4キログラムで、その多くが焼却処分されています。
回収場所を増やすことで、市民が衣類を出しやすくなるという利点もあります。
この目的自体は理解できます。
特に、民間店舗が少ない加佐や大浦などで行政が回収場所を補完することには、一定の意味があるでしょう。
しかし、市役所が市内全域で民間と同じ回収事業を抱え続ける必要があるかは、別の問題です。
森本たかしの意見
行政がすべきことは、民間と同じ回収ボックスを並べることではありません。
すでに地域に存在するリユースの仕組みを調べ、市民へ分かりやすく伝え、利用を促すことです。
民間事業者は、自らの費用と責任で回収、運搬、選別、再販売、リサイクルの仕組みを構築しています。
その仕組みを行政が広報すれば、市民の利便性を高めながら、税金の支出を抑えられます。
行政が何でも自前で行う必要はありません。
行政は「回収業者」ではなく、市民と民間サービスをつなぐ交通整理役になるべきです。
私が提案する「舞鶴版リユース案内」
舞鶴市には、次の仕組みを提案します。
1.「売る・譲る・回収する」の順番を広報する
市民へ、次の順番を分かりやすく案内します。
- 売れるものは、メルカリやリユース店で売る
- 売れないが使えるものは、ジモティーや知人を通じて譲る
- それでも引き取り手がない衣類は、民間または行政の回収へ出す
最初から回収ボックスへ入れるのではなく、衣類の状態に応じて最も有効な方法を選べるようにします。
2.市内の回収場所を一覧化する
舞鶴市のホームページや広報紙で、次の情報をまとめます。
- 店舗名と所在地
- 常設回収か期間限定か
- 他社製品も回収できるか
- 回収できない品目
- リユース店の買取情報
- メルカリやジモティーの利用方法
- 行政の回収場所
「どこへ持って行けばよいか分からない」という市民の困りごとを、行政の情報発信で解決できます。
3.メルカリやジモティーと連携する
メルカリは、自治体と連携したメルカリ教室、ごみ減量の啓発、粗大ごみや不用備品の販売などを全国で行っています。メルカリの自治体連携
ジモティーも、2026年2月現在で全国271以上の自治体とリユース協定を締結しています。ジモティーの自治体連携
舞鶴市も民間サービスとの連携可能性を調査し、市民向けの出品講座や安全な取引方法の講習を行うべきです。
スマートフォンの操作に不慣れな高齢者には、公民館などで写真撮影、価格設定、梱包、発送までを学べる機会を設けることもできます。
4.行政回収は民間の空白地域に限定する
民間店舗が多い地域では民間回収を案内し、加佐や大浦など民間の回収場所が少ない地域を行政が補完します。
民間と競争するのではなく、民間では届かない部分を行政が支える形です。
5.費用対効果を毎年公表する
行政回収を継続する場合は、少なくとも次の数字を毎年公表すべきです。
- 年間回収量
- リユース率
- リサイクル率
- 廃棄率
- 焼却処理の削減量
- CO₂削減量
- 年間事業費
- 衣類1キログラム当たりの経費
- 回収衣類の売却収入
- 最終的な流通先
民間の回収場所が増えれば、行政事業を縮小する仕組みも必要です。一度始めた事業を、効果を検証せず永久に続けてはいけません。
税金を使わず、リユースをもっと広げる
舞鶴市が目指すべきなのは、「行政がどれだけ衣類を集めたか」ではありません。
舞鶴市全体で、どれだけ衣類の焼却を減らし、どれだけ市民の手元にお金や価値を残せたかです。
衣類を売れば家計の助けになります。
地域の人に譲れば、人と人とのつながりが生まれます。
民間の回収を利用すれば、行政の経費を抑えられます。
リユースは良い取り組みです。だからこそ、回収ボックスを置いて終わるのではなく、継続的に衣類が循環する仕組みへ発展させるべきです。
行政が集める舞鶴から、行政がつなぐ舞鶴へ。
これが、環境を守りながら市民の税金も守る、これからのリユース政策だと私は考えます。

