舞鶴市は、自治体DXの成功事例として、さまざまなメディアで紹介されています。

Chromebookの導入。
Google Workspaceの活用。
Geminiの導入。
クラウド環境の整備。

外から見ると、いかにも「進んだ市役所」に見えるかもしれません。

しかし、その舞鶴市役所で、基本的な事務手続きミスが続いています。

田井原子力防災センターの土地賃借料未払い。
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子宮頸がん検診の受診券299人への誤発送。
https://news.line.me/detail/oa-kyoto/dxk3gdupoyvw?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none

DX成功事例のはずなのに、なぜこのような単純ミスが続くのでしょうか。

今回は、舞鶴市役所のDXが本当に現場で使いこなされているのか、市民目線で考えてみます。

田井原子力防災センターの土地賃借料を支払い忘れ

京都新聞の報道によると、舞鶴市は6月22日、田井原子力防災センターの土地所有者に対する昨年度分の土地賃借料16万円の支払いを怠っていたと発表しました。

市危機管理・防災課によると、本来は3月までに済ませるべき支払い手続きを、担当者が失念していたとのことです。

その後、昨年度決算を確認する過程で未払いが発覚し、6月中に遅延損害金とともに土地所有者へ支払うことになりました。

金額は16万円です。

金額だけを見れば、大きな金額ではないと思う人もいるかもしれません。

しかし問題は金額ではありません。

本来3月までに済ませるべき支払いを失念していたこと。

しかも、危機管理・防災課が関わる田井原子力防災センターの土地賃借料であること。

そして、決算確認の過程でようやく未払いに気付いたことです。

これは、単なる担当者のうっかりミスで終わらせてよい話ではありません。

支払い期限の管理、契約管理、確認体制がどうなっていたのか。

そこが問われるべきです。

子宮頸がん検診の受診券を299人に誤発送

さらに同じ6月22日、舞鶴市は別の事務ミスも発表しています。

京都新聞の報道によると、舞鶴市は、子宮頸がん検診を3月に受診済みで、本年度は受診対象ではない市民299人に対し、誤って受診券を発送したとのことです。

舞鶴市健康づくり課によると、子宮頸がん検診は2年に一度の受診が推奨されています。

本年度の受診券を作る際、3月10日から31日に受診した人のデータが反映されていなかったとのことです。

そして、市民から、

「3月に受診したが、また受診券が届いた」

と指摘があり、ミスが分かりました。

これも軽く見てはいけません。

受診券が余分に届いただけ、という話ではありません。

市民は混乱します。

医療機関への問い合わせも増える可能性があります。

行政への信頼も下がります。

もしそのまま受診されれば、検診費用や事務処理にも影響が出るかもしれません。

なにより、健康づくり課が扱う情報は、市民の健康に関わる大切な情報です。

「データが反映されていませんでした」で終わらせてよい話ではありません。

2件に共通する問題

この2件に共通しているのは、基本的な確認体制の甘さです。

土地賃借料の未払いは、支払い期限の管理ミスです。

子宮頸がん検診の受診券誤発送は、データ反映と発送前確認のミスです。

どちらも、事前に防げた可能性があります。

支払い期限を確認する仕組みがあれば。
契約台帳を共有していれば。
期限前に通知が出る仕組みがあれば。
発送前にデータ反映日を確認していれば。
対象者リストと受診済みリストを照合していれば。
担当者以外の職員が確認していれば。

防げた可能性は十分にあると思います。

もちろん、人間ですからミスはあります。

担当職員個人を責めることが目的ではありません。

問題は、担当者がミスをしても、組織として防げる仕組みがあったのかということです。

行政の仕事は、個人の記憶や注意力だけに頼ってはいけません。

市民の税金、市民の健康、市民の生活に関わる仕事だからこそ、ミスを未然に防ぐ仕組みが必要です。

舞鶴市はDX成功事例として紹介されている

ここで注目したいのが、舞鶴市のDXです。

舞鶴市は、自治体DXの成功事例として、さまざまなメディアで紹介されています。

Google公式ブログでは、舞鶴市が「日本一働きやすい市役所」を目指し、職員の働き方を抜本的に見直すため、全職員を対象にChromeOS、Google Workspace、Geminiなどを導入している自治体として紹介されています。

また、自治体向けのDXセミナーなどでも、舞鶴市は全庁約1,100人の職員を対象に、Chromebook、Google Workspace、Geminiを導入した事例として紹介されています。

ほかにも、ペーパーレス化、クラウド活用、職員の働き方改革、AI活用、安全な業務環境の構築など、舞鶴市のDXは外部から評価されているようです。

もちろん、デジタル化そのものは必要です。

私はDXを否定しているわけではありません。

人口減少が進む中、自治体職員の負担は増えます。

限られた人員で行政サービスを維持するためにも、デジタル技術を活用することは必要です。

しかし問題は、導入したかどうかではありません。

本当に使いこなせているのか。

そこです。

Google WorkspaceはWord・Excel・PowerPointの代用品ではない

Google Workspaceを導入しました。

Geminiを使っています。

Chromebookを配備しました。

こう聞くと、舞鶴市役所は非常に進んでいるように見えます。

しかし、それが本当に業務改善につながっているのでしょうか。

GoogleドキュメントをWordの代わりに使う。

GoogleスプレッドシートをExcelの代わりに使う。

GoogleスライドをPowerPointの代わりに使う。

もしそれだけなら、DXではありません。

単なるソフトの置き換えです。

道具を替えただけです。

本来のDXとは、仕事の仕組みそのものを変えることです。

業務の流れを見直す。

無駄な作業を減らす。

ミスを減らす。

データを正しく管理する。

職員同士で情報を共有する。

市民サービスを正確に、早く、分かりやすく届ける。

これが本来のDXだと思います。

今回のミスはDXで防げた可能性がある

今回の2件は、DXが本当に現場で運用されていれば、防げた可能性があるミスです。

たとえば、土地賃借料の支払い忘れ。

契約台帳をGoogleスプレッドシートなどで共有する。

支払い期限をGoogleカレンダーに登録する。

担当者と上司に期限前通知を出す。

支払い完了チェック欄を作る。

未処理のままなら上司が確認できるようにする。

こうした仕組みを作っていれば、支払い失念はかなり防げたのではないでしょうか。

次に、子宮頸がん検診の受診券誤発送。

発送前チェックリストを作る。

データ反映日を確認する。

「3月10日から31日の受診データは反映済みか」という確認項目を入れる。

受診済みリストと発送対象者リストを照合する。

担当者以外の職員が最終確認する。

こうした作業フローがあれば、市民から指摘される前に気付けた可能性があります。

GeminiのようなAIも、個人情報の扱いには十分注意が必要ですが、作業手順書の作成、チェックリストの作成、漏れやすい確認項目の洗い出しには活用できるはずです。

つまり、Google WorkspaceもGeminiも、飾りではありません。

本当に使いこなしているなら、こうした単純ミスを防ぐ仕組みにこそ使うべきです。

問題はDX導入ではなく、DX運用

私は、舞鶴市がDXを進めること自体には賛成です。

しかし、導入と運用は別です。

導入しました。

研修しました。

メディアに掲載されました。

成功事例として紹介されました。

それだけでは、市民にとって意味がありません。

市民にとって重要なのは、行政サービスが良くなったかどうかです。

受診券が正しく届く。

支払い期限が守られる。

データが正しく反映される。

市民から指摘される前に、市役所内部でミスに気付く。

こうした基本的な行政事務が改善されてこそ、DXの意味があります。

「日本一働きやすい市役所」を目指すことは否定しません。

職員が働きやすくなることも大切です。

しかし、市民から見れば、その前にまず、

「市民に迷惑をかけない市役所」

であってほしいのです。

メディア向けDXではなく、市民のためのDXを

舞鶴市のDXは、外部メディアでは成功事例として紹介されています。

しかし、市民が見るのは、メディアの記事ではありません。

実際の行政サービスです。

受診券が正しく届くか。

手続きが正しく行われるか。

税金の支払いが適切に処理されるか。

ミスが起きたときに、原因を検証し、再発防止策を示すか。

そこです。

DXとは、かっこいい言葉を並べることではありません。

Chromebookを何台入れたかを誇ることでもありません。

Google Workspaceを導入したとアピールすることでもありません。

市民に迷惑をかけない仕組みを作ることです。

行政事務のミスを減らすことです。

職員の仕事を見える化し、属人化を防ぐことです。

担当者が忘れても、組織として気付ける仕組みを作ることです。

それが、本来のDXではないでしょうか。

舞鶴市役所に求めること

今回の2件について、舞鶴市役所には単なる謝罪や再発防止の言葉だけで終わらせてほしくありません。

なぜ支払い手続きが漏れたのか。

なぜ期限前に確認できなかったのか。

なぜ3月10日から31日の受診データが反映されていなかったのか。

なぜ発送前に気付けなかったのか。

同じような未払い、誤発送、データ反映漏れが他にもないのか。

そして、Google WorkspaceやGeminiを導入しているなら、これらをどう再発防止に活用するのか。

そこまで説明してほしいと思います。

DX成功事例としてメディアに取り上げられることは悪いことではありません。

しかし、市民にとって本当に大事なのは、外部からの評価ではありません。

市民生活の現場で、行政サービスが正確に届くことです。

導入したDXではなく、使いこなすDXへ。

職員のためだけのDXではなく、市民のためのDXへ。

舞鶴市役所には、そこをしっかり見直していただきたいと思います。

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