
真下 隆史議員からの圧力を受けて反論するための調査を実施しました。
これらは公開情報 日本板硝子工業、アプロ社のホームページや株式情報など公開情報を元に作成した調査報告書です。
私と伊達直人氏と私の名誉をかけまして日本板硝子舞鶴工場を取り巻く問題は舞鶴市政にとって重要な問題であることを報告いたします。
真下隆史議員に置かれましてはこの情報が誤りであるのならしっかりとした根拠とデーターをもって反論してください。
1. アメリカを席巻する「メガ解雇」の時代
近年、シリコンバレーをはじめとするアメリカ各地で、企業が一度に大量の従業員を削減する「メガ解雇」が大なたを振るっています。
- 急増する人員削減数 2025年10月に米国企業が発表したレイオフは15万3,000件超にのぼり、過去20年以上で最大の月間削減数を記録しました。2025年1月〜10月の累計では約110万件(前年同期比65%増)と、2020年のパンデミック以来の高水準に達しています。
- 最新の動向(2026年) チャレンジャー社の調査によると、2026年3月に発表された人員削減は6万620人で、2月(4万8,307人)から25%増加しました。
- 主な企業動向 決済サービス大手ブロック(40%削減)やスナップ(16%削減)、オラクル(数千人規模)、Amazon(数ヶ月で約3万人)など、大手企業が軒並み大規模なリストラを断行しています。
【削減の主な理由(2025年実績)】
最大の理由は「コスト削減」ですが、近年は「AI導入」が急増しています。2026年3月の発表では、AIが全体の25%を占め最大の理由となりました。
- コスト削減:50,437件
- AI導入:31,039件
- 市場・経済状況:21,104件
- 店舗・工場閉鎖:16,739件
- リストラクチャリング:7,588件
企業にとって最大のコストは人員であり、手っ取り早く効率的にコストを削減する手段として大規模レイオフが選ばれています。
2. 変質するリストラの目的と株主至上主義の弊害
以前は、大規模なレイオフは「経営ミスの兆候」や「業績立て直しのための抜本的措置」として認識されていました。しかし現在では、より直接的な「財務面のメリット」を得るために実施されるようになっています。
アメリカン航空の事例に見る経営陣の暴走
ビジネススクールで教えられる「会社は株主のものであり、短期間で株主利益を最大化する」という理論は、時に経営陣のモラルハザードを引き起こします。
2008年の航空不況時、アメリカン航空の経営陣は従業員に340億円分の給与削減を迫りました。同業他社への再就職も困難な状況下で従業員はこれを受け入れましたが、その後、経営陣は自らに200億円のストックオプション(株式ボーナス)を支給しました。 労働組合は猛反発しましたが、社外取締役は「市場の動きに基づいている」とこれを正当化しました。従業員の給与という「負債」をカットして企業価値を上げたのだから、ボーナスを受け取るのは当然、という極端な理屈です。
日本でも、かつて日産自動車のカルロス・ゴーン元社長が「コストカッター」として大なたを振るったことは記憶に新しいところです。
3. コーポレート・ガバナンス:日米の違い
こうしたROE(自己資本利益率)やIRR(内部収益率)を過度に重視するアメリカ流のガバナンス理論が、世界、そして日本にも広がりつつあります。
- 日本的経営(ステークホルダー重視型) 企業は株主からの資金だけでなく、従業員という人的資産など、多様な利害関係者(ステークホルダー)によって成り立っていると考え、全体の利害調整を重視します。
- アメリカ的経営(株主・出資者重視型) 株主価値の最大化を第一とします。目標が明確かつ客観的である反面、10年単位の中長期的な研究開発が捨てられ、3〜5年の短期的な効率化やリストラに偏重しやすい傾向があります。
4. 日本企業への波及:日本板硝子と米ファンド「アポロ」
日本においては法制度や雇用の慣行上、人員削減は簡単ではありません。しかし、厳しい財務状況に置かれた企業が現状を維持できるわけもありません。その象徴的な事例が、日本板硝子の非上場化と抜本的改革です。
6,000億円の負債と実質的な「買収」
日本板硝子は直近で約6,000億円近い負債を抱え、企業価値の約9割をネット有利子負債が占めるという非常に脆弱な財務体質にありました。自助努力だけでは収益・財務体質の再構築は困難であり、事業継続すら危ぶまれる状況でした。
そこで、運用資産145兆円(2025年末時点)を誇る米国の巨大投資会社「アポロ」が名乗りを上げました。公表資料(NSGグループ新生に向けた抜本的施策)ではアポロ社との「パートナーシップ」と表現されていますが、両者の資本規模の差から見れば、これは実質的な「買収」であることは明白です。
非上場化によって株主というステークホルダーを排除し、アポロの主導下で中長期的な視点に立った機動的かつ「抜本的な」事業改革(リストラを含む)が推進されることになります。アポロは過去にレゾナック(旧 昭和電工)の支援において大規模な事業再編を行い、化成部門の撤退等により地域から工場がなくなる事例も生み出しています。
5. 舞鶴工場に迫る危機と冷徹な決算データ
今後、アポロ主導のもとで大規模な事業再編が確実視される中、日本板硝子 舞鶴工場が無傷でいられる保証はどこにもありません。それどころか、真っ先にコストカットの標的となる可能性が高いと分析できます。
コストカットの為の非上場化(ステークホルダーの影響を下げるため)とも言えるでしょう。
「作っても儲からない」自動車用ガラスの現実
その根拠は決算書に明確に表れています。2026年3月期 第3四半期決算報告を読み解くと、以下の厳しい現実が浮かび上がります。
- 舞鶴工場の主力である「自動車用ガラス」は、売上高としてはグループ総売上の半分を占める。
- しかし、利益率としてはグループ内で最低水準である。
- 実際、一番売上規模の低い「高機能ガラス」部門よりも営業利益で劣っている状態にある。
つまり、現在の自動車用ガラス事業は「作っても作っても儲からない状態」に陥っています。
舞鶴工場はこれまで手厚い人員を確保し、労働環境も良く、地元では人気の優良企業とされてきました。しかし、アメリカ流の合理的なガバナンス理論に基づく経営者の視点に立てば、こうした「高コスト・低収益」な環境は到底容認できるものではありません。真っ先に大なたを振るう標的となるのは必然の理です。
アメリカで真っ先にレイオフ対象とされたのは「高コスト・低収益」な環境で働く労働者たちなのです。
6. ペロブスカイト太陽電池とファンドの真の狙い
さらに深読みすべきは、次世代技術に対するファンドのスタンスです。
近年、次世代の太陽光発電として「ペロブスカイト太陽電池」が注目を集めています。軽量・柔軟・低コストという特徴から、住宅、ビル、自動車への応用が期待され、2025年現在、実証試験や量産化に向けた転換期を迎えています。
日本板硝子も、2006年に買収した英ピルキントンの技術を活用し、このペロブスカイト太陽電池への参入を表明しています(現在はまだ市場に広く流通する前の段階です)。
一見すると明るい材料に思えますが、アポロ社の投資判断は、日本政府がこの技術を国家戦略に位置づけ、支援を強化している動きを的確に見込んだものであると考えるのが自然です。 すなわち、アポロ社の目論見は「自らのファンド資金でリスクを負って研究開発を実施するのではなく、政府の投資(補助金等)を引き出して研究開発を行わせる」ことにあります。
アポロ社からの支援において、コストカット(人員削減や工場閉鎖)と負債の肩代わり以外の「実質的な成長投資」が無条件で行われるという期待値は極めて低いです。
7. 経営的視点からの評価:不可避かつ妥当な「大手術」
ここまで労働者や地域の視点から厳しい現実を述べてきましたが、経営的視点に立てば、今回の日本板硝子とアポロの決断は「企業の存続と再建のための、正しく不可避な判断」であると評価できます。
- 倒産(全員解雇)の回避 6,000億円の負債を抱え、自助努力が限界に達していた現状を放置すれば、遠からず資金繰りに行き詰まり、舞鶴工場を含む全社的な倒産という最悪の事態(全員解雇)を招いていた可能性が十分にあります。
- 非上場化という「治療のシェルター」 アポロによる非上場化は、毎四半期ごとに株式市場から短期的な利益を求められるプレッシャーから企業を解放し、血を流すような痛みを伴う抜本的改革を、腰を据えて行うための環境を整えるための手段です。
- 「ゾンビ企業」からの脱却 過剰人員や低収益部門を抱えたまま緩やかな衰退を待つのではなく、早期に外科手術(リストラや事業の取捨選択)を行い、ペロブスカイト太陽電池などの成長分野へ経営資源を集中させることは、企業が再び市場で生き残るために不可欠なプロセスです。
結論:地元行政と地域社会に求められる戦略的対応
アポロの介入は、瀕死の重病人を救うための「痛みを伴う大手術」であり、経営再建のプロセスとしては極めて合理的かつ妥当な判断です。事態は深刻であり、以前のような安泰な環境が維持されるという楽観視できる要素は皆無です。
だからこそ、舞鶴市役所や市議会、そして地域社会が取るべき真の対策は、単なる「ファンドへの反発」や「現状維持の防衛戦」に終始することではありません。 大なたが振るわれるという現実を冷徹に受け入れた上で、「舞鶴工場こそが新技術(ペロブスカイト等)の量産・研究拠点として最適である」とファンド側に売り込み、新たな成長投資を引き出すためのポジティブな提案(インフラ整備や優遇措置の提示など)を戦略的に講じていくことです。
さらに、これと並行して、避けられないリストラに直面するであろう従業員への再就職支援や生活相談など、地元としての手厚いセーフティネットの準備を早急に進めることが、今最も求められています。

