
――公募の皮をかぶった「準備完了者向け受付」の実態
本件は匿名の市民通報から発覚しました。情報提供いただいた方、ありがとうございました。
「公募」と聞けば、多くの事業者はこう受け取ります。
募集を知り、検討し、準備したうえで申請できる制度だと。
しかし今回、
誰もが働きやすい職場づくり推進事業費補助金の実態は、
その前提を大きく裏切るものでした。
表向きの募集期間と、実際に動けた期間の乖離
まず、公式に示されていた日程を確認します。
- 公募開始日:2025年12月10日
- 申請受付期間(要領上):2026年1月30日まで
一見すると、
約50日間の募集期間が確保されているように見えます。
しかし、市民オンブズマンが確認したところ、
- 2026年1月8日時点で、すでに受付は打ち切り
となっていました。
年末年始を考慮すると「実質2週間」
さらに重要なのが、事業者の実情です。
- 12月27日〜1月4日
多くの事業者は- 年末年始休業
- 繁忙期の締め作業
- 社内決裁が止まる時期
です。
この期間を除外すると、
- 12月10日〜12月26日
- 1月5日〜1月8日
👉 実質的に動けた期間は、約2週間程度しかありません。
その2週間で求められた「重すぎる準備」
本補助金の対象内容は以下の通りです。
ハード事業(上限50万円)
- トイレ・更衣室・子連れ出勤スペース等の施設整備
- バリアフリー工事
- 研修ルーム整備 など
ソフト事業(上限20万円)
- 就業規則・労使協定の見直し
- 研修の実施
- 外部講師・コンサルタントの導入
これらはいずれも、
- 複数業者からの見積取得
- 講師・コンサルの選定と日程調整
- 社内での検討・合意形成
- 事業計画書・収支予算書の作成
を必要とする案件です。
2週間で準備できる内容ではありません。
導かれる結論は一つ
このスケジュール条件下で申請できたのは、
- 募集開始前から制度情報を把握していた
- すでに改修・制度整備を検討・準備していた
- 見積や専門家選定を終えていた
事業者だけです。
つまり、
事前に情報を掴み、すでに準備が整っていた事業者しか申請できない
構造だった、ということです。
「公募」を名乗るが、実態は限定受付
形式上は、
- 市ホームページに掲載
- 公募要領あり
- 予算上限あり
しかし実態は、
- 周知は市HPのみ
- 事業者への直接的発信なし
- 準備期間は事実上2週間
- しかも1月8日以前に早期打ち切り
これはもはや、
公募という名を借りた「準備完了者向け受付」
と言われても反論できない状況です。
不正と断定はできない。しかし…
現時点で、法的に
「違法」「不正」と断定できる材料はありません。
しかし、
- 公平な機会提供がなされていない
- 新設補助金にもかかわらず周知不足
- 実質参加できる事業者が極端に限定
- 早期終了の理由説明なし
これらが重なった結果、
限りなくブラックに近いグレーな補助金
と評価されるのは避けられません。
一番の問題は「説明がないこと」
行政補助金において最も致命的なのは、
不正そのものより、不正を疑われる運用を放置することです。
にもかかわらず、
- 応募件数はいくつだったのか
- なぜ1月8日以前で打ち切ったのか
- 採択されたのはどのような事業者か
これらについて、
舞鶴市からの説明はありません。
結論
この補助金は、
- 趣旨は立派
- 内容も社会的に重要
- しかし運用は極めて不透明
結果として、
「限りなくブラックに近いグレーな補助金」
として発覚したと言わざるを得ません。
「誰もが働きやすい職場づくり」を掲げるのであれば、
まず必要なのは、
誰もが知り、誰もが準備でき、誰もが挑戦できる制度設計です。
説明なき沈黙は、
疑念を事実に変えてしまう。
行政は、その重さを直視すべきです。

