
匿名希望さんからのお電話をまとめました。
森本さん、聞いてください。
先日、南公民館の図書室へ本を借りに参りました。
歩くのもゆっくりになりましたが、本を読む時間だけは若い頃と変わらず、私にとって何よりの楽しみです。
その日も新しい本に出合えることを期待して、少しうきうきしながら入りました。
中では職員の方が本にバーコードを貼っておられました。
何をしているのか尋ねると、新しい図書館のための作業だとのこと。
私は以前、中央図書館の説明会に参加していたその職員さんだと気づきました。
私は新しくできる図書館には疑問を持っておりましたので、思わず「新しい図書館なんて私らいらんのに…」と小さくつぶやいてしまいました。
するとその方は奥へ下がられ、しばらくして西公民館の館長・有本と名乗る方が出てこられ、「質問があるなら私が対応します」と言われました。
私は急にどうしたのだろうと戸惑いましたが、特に館長とお話しする用事もなく、本を探しました。
気になる本が見つかり受付へ向かうと、対応したのはその有本館長でした。
ところが、その日に限って図書カードを忘れてしまっていたのです。
何とかならないかとお尋ねしましたが難しいようで、あきらめて帰ろうとした際、カウンターの小さなベルに袖が引っかかり、床に落ちました。
すると館長から「物を落とすな」と強い口調で言われました。
私は落としたことにすら気づいておらず、まるでわざとしたかのように詰問されました。
「わざと落としたというのですか」と尋ねると、「そうだ」と断定され、さらに「大きな声を出すな」と凄まれました。
私は恐ろしくなり、そのまま南公民館を後にしました。
帰り道、自転車を押しながら何度も考えました。
声はいつも通りでしたし、ベルも不注意ではあっても、決してわざとではありません。
それなのに、あのように強い言葉で責められ、胸がぎゅっと締めつけられる思いがいたしました。
年を取ってから、見ず知らずの方にあのように怒られたのは初めてです。
自分の意見を少し口にしただけで、クレーマーと思われたのでしょうか。
見張られていたのでしょうか。
最近は、年を重ねるほどに「迷惑をかけていないか」と気にしながら暮らしております。
それだけに、この出来事が頭から離れません。
私は何か悪いことをしたのでしょうか。
もう図書室を利用してはいけないのでしょうか。
森本さん、どうかお聞かせください。
あの日のベルの音が、今も心の奥で静かに鳴り続けています。

