
女性消防官による署内窃盗事件を追う
「消防署で、職員による窃盗事件があったらしい」
そんな情報が、市民オンブズマンまいづるに寄せられました。
しかもその内容は、決して軽いものではありません。
女性消防官が同僚職員の金銭を盗み、
内部で発覚したが、警察には通報されず、
懲戒処分もなく、依願退職で処理されたというのです。
事実なら、これは重大な問題です。
消防は、市民の命と財産を守る最後の砦。
その組織で起きた犯罪行為が、市民に一切知らされないまま消されているとしたら──。
まず、正面から情報公開請求しました
私たちは、舞鶴市に対し、
この「窃盗事件」について、次のような情報公開請求を行いました。
- 通報や報告の文書はあるのか
- 内部調査や事情聴取は行われたのか
- 処分や退職に関する検討記録はあるのか
- 警察への通報を検討した記録はあるのか
ところが、市の回答はこうでした。
「職員の非違行為の疑いに関する文書の存否を明らかにすることは、職員のプライバシーや名誉を不当に侵害する恐れがあることから、
当該文書の存否については明らかにいたしません。」これを「存否応答拒否」と言います。
つまり、事件があったのか無かったのかすら、市は答えなかったのです。
数字から確かめようと考えました
ここで、私たちは次の一手を打ちました。
不祥事は隠せても、
人の動きは数字に必ず現れる。
もし本当に、
- 女性消防官が
- 夏ごろに
- 依願退職している
のなら、
- 退職者数
- 退職理由
- 男女別の職員数
これらを見れば、何らかの変化が出るはずです。
そこで私たちは、舞鶴市にこう請求しました。
- 2025年4月~12月の消防職員の月別退職者数と退職理由
- 同期間の消防職員の男女別人数
ごく普通の、
どこの自治体でも管理しているはずの数字です。
返ってきた答えは、さらに衝撃的でした
舞鶴市の回答は、こうです。
「そのような文書は存在しない」
つまり、市はこう言っているのです。
- 何人辞めたのか分からない
- なぜ辞めたのか分からない
- 男性が何人で、女性が何人かも分からない
これが、消防本部の公式回答です。
本当に、そんなことがあり得るのでしょうか
冷静に考えてみてください。
消防職員は地方公務員です。
- 採用
- 配置
- 退職
- 給与
- 年金
- 共済
すべて文書と数字で管理されます。
特に女性消防官は、
- 専用設備
- 配置計画
- 国や府への報告
で、人数把握が不可欠です。
それでも市は言います。
「男女別人数を記録した文書は存在しない」
これは、
「把握していない」のではなく
「出したくない」
と受け取られても仕方がありません。
二重に張られた「見えない壁」
今回の対応を整理すると、こうなります。
- 窃盗事件 → 「あるかどうかも答えない」
- 人数・退職理由 → 「文書が存在しない」
市民が事実を確認しようとすると、
どこを見ても、真っ黒な壁にぶつかる。
これでは、
- 不祥事があっても
- 処分されなくても
- こっそり辞めさせても
市民には永遠に分かりません。
私たちは、あきらめません
市民オンブズマンまいづるは、
- この決定に対して 引き続き調査を実施します
- 「数字すら出さない」異常さを、正式に問います
- 市民の皆さんに、事実を伝え続けます
これは、特定の職員を責めるためではありません。
組織の不祥事を隠す体質こそが、
市民の命と信頼を危険にさらすからです。
市民のみなさんへ
消防は、私たちが一番困ったときに頼る存在です。
だからこそ、
- 正直であること
- 説明責任を果たすこと
- 間違いを隠さないこと
が、何より大切です。
「何も答えない市役所」で、本当にいいのでしょうか。
私たちは、
見えないものを、見えるようにするために
これからも問い続けます。


