休日明けの今朝、社用パソコンを立ち上げると、
大量のフィッシングメールが届いていました。

有名企業を装ったもの、
請求や確認を装ったものなど、
一見すると本物と見分けがつかない内容ばかりでした。

社内のセキュリティについては、
これまでも経営者として一定の対策を講じてきたつもりでしたので、
正直、大きなショックを受けました。

「もしかすると、自社が何らかの被害を受けているのではないか」
そんな不安が頭をよぎったのを覚えています。

すぐに状況を確認し、
原因の切り分けとセキュリティ強化に動き出しました。

その過程で見えてきたのは、
単なる設定ミスや個別のトラブルではなく、
中小企業が直面しているDXの“限界点”とも言える現実でした。

今回は、その改善のために実際に向き合う中で、
私自身が強く感じたことをお伝えしたいと思います。

地方の中小企業が、見えないデジタルリスクとどう向き合うのか

私は日々、事業を続ける一人の社長として、
そして地域で活動する立場として、
舞鶴の「DX推進」「デジタル化」という言葉を目にします。

行政資料や施策説明では、
とても前向きで、立派な言葉が並びます。

業務効率化。
生産性向上。
中小企業の競争力強化。

確かに、その方向性自体を否定するつもりはありません。

しかし、現場に立つ中小企業の社長として、
どうしても感じてしまう違和感があります。


社長は、IT担当ではありません

中小企業では、社長が多くの役割を担っています。

営業も行い、
経理も確認し、
採用にも関わり、
時には現場にも立ちます。

そして気がつけば、
ITトラブルが起きたときの最終責任者にもなっている。

「怪しいメールが届いた」
「フィッシングかもしれない」
「自社のサーバーが悪用されている可能性がある」

そんな不安に直面しても、
社内に専門担当者がいる会社はほとんどありません。

当然です。
社長はITの専門家ではないのです。


相談できる相手が、近くにいない現実

都市部であれば、
ITベンダーやシステム会社、セキュリティ専門業者が身近にあります。

しかし、舞鶴ではどうでしょうか。

ホームページ制作会社はあっても、
サーバーやメール、セキュリティまで継続的に見てくれる外注先は多くありません。

「ちょっと相談したい」
「今すぐ状況を見てほしい」

そう思っても、
相談先そのものが存在しない。

これが地方の中小企業の現実です。


見えない攻撃は、静かに進みます

今回、私自身が体験したのは、
悪意あるスパムメールやフィッシングメールの問題でした。

見た目は有名企業を装い、
一見すると本物と区別がつかない。

しかも送信経路を確認すると、
自社サーバーの名前が表示される。

「もしかして、うちが踏み台になっているのではないか」

そんな不安が頭をよぎります。

しかし、こうした事態について、
誰かが事前に教えてくれることはありません。

サーバー会社からも、
Googleからも、
WordPressからも、
明確な説明はありません。

異常は起きているのに、
理由は自分で調べるしかない。

これは精神的にも、非常に大きな負担です。


DXとは、便利にすることではありません

今回の対応を通じて、私は強く感じました。

DXとは、
単に新しいツールを導入することではありません。

本当に必要なのは、
安心して事業を続けられる状態をつくることです。

・自社から不正なメールが送信されない
・なりすましに加担しない
・被害者にも加害者にもならない

こうした「守りの土台」がなければ、
DXは前に進みません。

便利になる前に、
まず壊れない状態をつくらなければならないのです。


これは、個人の努力で解決できる問題ではありません

正直に申し上げて、
今回の対応は決して簡単なものではありませんでした。

専門用語が並び、
メールの仕組みやサーバーの構造を一つひとつ確認し、
原因を切り分けるだけでも相当な時間と労力を要しました。

幸いにして私は、
これまでの経験の中で、一定のセキュリティ知識や実務経験がありました。
そのため、何とか状況を理解し、対策までたどり着くことができました。

しかし、はっきり申し上げます。

これは、一般的な中小企業の社長や、社内のIT担当者が対応できるレベルではありません。

「少しパソコンに詳しい人がいれば何とかなる」
そうした時代は、すでに終わっています。

メール、サーバー、クラウド、認証、なりすまし、転送、スパム判定。
これらが複雑に絡み合う現在の環境は、
もはや個人の努力や自己学習で乗り切れる領域を超えています。

ここが、明確な限界点です。

今起きている問題は、
「勉強すれば解決できる」ものではありません。

仕組みとして守らなければ、事業そのものが守れない段階に入っている。

私は今回、その現実をはっきりと突きつけられました。


行政が制度として支援しなければ、地域経済は守れません

舞鶴で本気でDXを進めるのであれば、
行政が取り組むべき支援は明確です。

補助金の書類作成支援ではありません。
実績づくりのためのIT導入でもありません。

必要なのは、

  • 中小企業が気軽に相談できる窓口
  • IT・メール・セキュリティの初動切り分け支援
  • 専門家につなぐ仕組み
  • 緊急時に「まず聞ける場所」

こうした地味ですが、命綱になる支援です。

これがなければ、
DXは一部の企業だけのものになり、
多くの地域事業者は取り残されていきます。


地方で商売を続けるということ

地方で会社を守るというのは、
売上だけの問題ではありません。

見えないリスクと向き合い、
誰にも相談できない不安を抱えながら、
それでも雇用を守り、事業を続けています。

私はその現実を、
行政にはもっと直視してほしいと思います。


最後に

中小企業の社長は、
ITの専門家になりたいわけではありません。

ただ、
安心して商売を続けたいだけです。

DXとは、
新しいことを押し付ける政策ではなく、
「潰れないための仕組み」を整えることではないでしょうか。

舞鶴で地域経済を本気で守るのであれば、
その視点を欠いたデジタル推進は、
いずれ現場との乖離を生むと、私は感じています。

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