
これは偶然ではなく、明確に設計された地方の「生き残り戦略」
綾部市長選で、四方候補の当選はほぼ確実と見られています。
しかしこの結果を、単なる「綾部市の首長交代」として捉えるのは、あまりにも浅い見方です。
四方市政が打ち出そうとしている政策を冷静に読み解くと、
そこには一貫した方向性があります。
舞鶴市の人口を、現実的に奪いにいく。
しかも、幻想ではなく、実装可能な手段で。
人口増=人口の奪い合いという現実
いまの日本で、地方自治体が
「子どもを増やす」「出生率を上げる」
といったことを、本気で実現できるでしょうか。
答えは、ほぼ「不可能」です。
四方候補は、この現実から目をそらしていません。
だからこそ、少子化対策を声高に語らない。
代わりに選んだのが、
すでに存在する人口を、動かす政策
です。
これは冷たい政治ではありません。
現実を直視した政治です。
四方市政が描く「人口を動かす政策」
① インフラ整備を軸にした住宅戦略
四方候補は府議時代から、公共工事の地元誘致に尽力してきました。
その姿勢は一貫しています。
- 道路整備
- 造成
- 上下水道
- 公共施設
これらをセットで回し、住宅地を広げる。
綾部市では地価が比較的抑えられており、
若い世代が現実的に「家を建てられる」。
一方、舞鶴市は古い地主構造が残り、地価が高止まりしたまま。
「住みたい」以前に、「住めない」。
この差は決定的です。
② 工場誘致による安定した雇用
綾部市は工場誘致に成功し、
若い世代が安心して働ける環境を整えてきました。
雇用が安定すれば、
- 定住できる
- 家を建てられる
- 子育てを考えられる
という連鎖が生まれます。
舞鶴市では、
通勤・転出を前提とした働き方が増え、
若年層の定着が難しくなっています。
③ 「医療充実」と言わない現実主義
四方候補が掲げるのは、
「医学を基礎とした安心のまちづくり」です。
ここで「医療の充実」と言わないのは、極めて重要なポイントです。
地方都市で、
- 医師確保
- 高度医療
- 24時間体制
を約束することは、現実的ではありません。
四方市政はそれを承知の上で、
- 予防
- 健康管理
- 生活の安心
に軸足を置いています。
できないことは言わない。
しかし、不安は減らす。
これは選挙トークとしても、政策としても非常に堅実です。
④ 「学力アップ」ではなく「教育環境 日本一」
同じ構図は教育にも表れています。
掲げているのは
「学力向上」ではなく
「教育環境 日本一」。
里山に囲まれた綾部市の特性を生かし、
- 自然
- 安心
- 見守り
- 落ち着いた生活環境
を前面に出す。
数値で競わない。
都市部と正面衝突しない。
しかし「安心して育てられる街」だとは言い切る。
これもまた、減点されにくい、計算された言葉です。
インフラ重視の本当の意味
四方候補がインフラ整備を重視する姿勢は、
単なる公共事業推進ではありません。
土木・建築業を「街の機能」として維持する
という、明確な都市観です。
道路も、水道も、公共施設も、
誰かが直し、守り続けなければなりません。
地元に土木建築業が残らない街は、
- インフラが更新できない
- 災害復旧が遅れる
- 外注頼みでコストが跳ね上がる
結果として、住み続けられなくなる。
四方市政は、
インフラ整備を「未来への保険」として位置づけています。
これは地方が生き残るために、欠かせない発想です。
見えてくる本当の構図
ここまでを並べると、狙いは明確です。
- 舞鶴で家を建てられない若い世代
- 子育てや将来に不安を感じている家庭
- 地元で働き続けたい層
この人口を、綾部に引き寄せる設計。
子どもを増やすとは言わない。
医療を充実させるとも言わない。
しかし、
ここなら、現実的に暮らせる
ここなら、将来も住み続けられる
とは、はっきり示している。
結論
四方市長誕生によって起きるのは、
- 綾部市の自然成長
ではなく - 舞鶴市からの静かな人口流出
です。
これは事故でも偶然でもありません。
設計された都市戦略です。
問題は、綾部が攻めていることではありません。
舞鶴市が、守る戦略を持っていないこと。
人口は、動きます。
動ける街へ。
その現実を、
今回の綾部市長選は、はっきりと突きつけています。
では、舞鶴市はどうするべきか
ここまで見てきたように、
綾部市が「人口を奪いに来る都市戦略」を明確に描いている以上、
舞鶴市が同じ土俵で消耗戦を挑むのは現実的ではありません。
舞鶴市が進むべき道は、
拡大ではなく、計画的な縮小です。
まず第一に必要なのは、
街を広げる発想を捨て、縮めながら強くするという決断です。
① 計画的に街を縮小させることを最優先に
人口減少が確実な中で、
今の市域規模・インフラ網を維持し続けるのは不可能です。
・維持できないインフラ
・人が住まないエリア
・更新不能な公共施設
これらを前提に、
「どこを守り、どこを畳むか」を先に決める必要があります。
② 綾部を真似て、インフラを“街の機能”として維持する
舞鶴市もまた、
インフラを「コスト」ではなく
「住み続けるための基盤」として再定義すべきです。
そのためには、
- 全域維持ではなく、重点維持
- 更新できる規模への再編
- 平時・災害時に対応できる体制づくり
が不可欠です。
③ 土木・建築業者を大切にする
舞鶴市が見落としてきた最大のポイントがここです。
土木・建築業は、
単なる“業界”ではなく、
街が自立して生き残るための機能です。
- 災害時にすぐ動ける
- 日常の修繕を担える
- インフラを内製で支えられる
この力を失った街は、
いずれ「住めなくなる街」になります。
④ 市街化調整区域を廃止し、不動産価格を下げる
舞鶴市が若い世代に選ばれない最大の理由の一つが、
「家を建てられない街」になっていることです。
- 古い地主構造
- 市街化調整区域の硬直運用
- 地価の高止まり
これを放置したまま、
移住や定住を語るのは空論です。
市街化調整区域の廃止・再編によって、
不動産価格を意図的に下げる。
これは逃げではなく、戦略です。
⑤ 人口4万人台を前提に、街づくりを再定義する
最も重要なのは、
将来人口を直視することです。
舞鶴市は、
将来的に人口4万人台になることを前提に、
- 行政規模
- インフラ規模
- 公共施設
- 市街地構造
すべてを再設計し直す必要があります。
「今の規模を守る」のではなく、
「その規模でも破綻しない街」を作る。
最後に
綾部市が攻めているのは事実です。
しかし、それ以上に深刻なのは、
舞鶴市が、守り方を決めていないことです。
拡大の夢を捨て、
縮小を戦略に変える。
それができたとき、
舞鶴市は初めて
人口を奪われ続ける側から、踏みとどまる側になれる。
この視点を持てるかどうかが、
舞鶴市の10年後を決めます。
新幹線では舞鶴市は絶対に救えませんよ。


