
――滋賀県立高専開校で「確実に減る学生層」と、京都府北部・嶺南が直面する現実
はじめに
「舞鶴高専が消えるのではないか」
最近、こうした声を耳にする機会が増えました。
結論から言えば、明日すぐに廃校になるという話ではありません。
しかし同時に、
何も手を打たなければ、確実に弱体化する構造に入っている
――そこは直視しなければなりません。
舞鶴市を含む京都府北部では、少子高齢化とともに学力分布の変化が進んでいます。
生徒数が減っているだけでなく、理数系の上位層が薄くなり、舞鶴市内からの高専進学率も低下傾向にあります。
そこに決定打となり得るのが、**滋賀県立高等専門学校(2028年開校予定)**です。

これは単なる「競合校が増える話」ではありません。
舞鶴工業高等専門学校の学力構成、存在意義、そして地域の人材循環そのものが問われる問題です。
近畿にはすでに以下の高専があります(※一部公立・私立含む)
- 京都府:舞鶴工業高等専門学校
- 兵庫県:明石工業高等専門学校
- 兵庫県:神戸市立工業高等専門学校
- 大阪府:大阪公立大学工業高等専門学校
- 奈良県:奈良工業高等専門学校
- 三重県:鈴鹿工業高等専門学校
- 三重県:鳥羽商船高等専門学校
- 和歌山県:和歌山工業高等専門学校
- 私立:近畿大学工業高等専門学校
そして
**滋賀県立高等専門学校(仮称/2028年開校予定・公立)**が加わる。
すでに見えている「確実に減少する志願者層」
まず押さえるべき最重要ポイントがあります。
舞鶴高専の志願者は
「減るかもしれない」のではなく、
「確実に減少する層がすでに存在する」
という事実です。
これまで舞鶴高専を支えてきた「広域流入層」
舞鶴工業高等専門学校には、
京都府北部や福井県嶺南だけでなく、これまで次の地域からも一定数の学生が流入してきました。
- 京都府中部(南丹・亀岡など)
- 京都府南部(宇治・城陽・八幡など)
- 京都市内
- 滋賀県(大津・草津・湖南地域など)
この層に共通していた理由は明確です。
- 京阪神の大学受験競争を避けたい
- 理工系で、就職と大学編入の両方を確保したい
- 国立で、現実的な距離にある高専が舞鶴だった
つまりこの層は、
「舞鶴だから選んだ」というより、
「他にちょうどいい選択肢がなかったため舞鶴を選んでいた」層です。
滋賀県立高専ができると、この層はどう動くか
滋賀県立高専が開校すれば、状況は一変します。
- 京都市内・京都府南部
→ 新快速圏内で滋賀へ通学可能 - 滋賀県内
→ 舞鶴を選ぶ合理性が消える - 保護者視点
→ 距離・雪・寮・生活コストの不安が激減
これは好みの問題ではなく、合理性の問題です。
👉 この層は、ほぼ確実に滋賀へ流れます。
しかもこの層は
- 情報感度が高く
- 比較的学力が高く
- クラスの上位〜中上位を形成してきた
舞鶴高専の学習環境を内側から支えてきた層です。
学力が下がるのではない「学力を引き上げていた層が抜ける」
ここで誤解してはいけません。
問題は
学生が努力しなくなること
ではありません。
正確には、
学力水準を底上げしてきた層が、構造的に抜ける
という点です。
この層が抜けると、
- 平均点が下がる
- 授業進度が落ちる
- 高度な内容が扱いにくくなる
という変化が、静かに、しかし確実に起こります。
高専を選ぶ理由の変化も、影響を増幅させる
近年、高専を選ぶ理由は変わってきています。
従来は
- 実験・実習が好き
- 技術者になりたい
という動機が中心でした。
しかし最近は
- 大学受験を避けたい
- 「高専→編入は楽」と聞いた
という受験回避型の選択も増えています。
この層自体が悪いわけではありません。
ただし割合が増えると、
- 授業が「探究」から「単位取得」へ
- 高専教育が「踏み台化」する
という変質が起こりやすくなります。
就職環境の差は、進路選択に直結する
もう一つ、無視できない現実があります。
舞鶴という地域の現実
- 製造業・研究開発拠点が減少
- 地元就職の選択肢が限られる
- 「どうせ出るなら最初から」という判断が合理的
一方、滋賀県は
- 大企業の工場・研究所が集積
- 理工系就職の導線が見えやすい
👉 学力上位層ほど、滋賀を選ぶ合理性が高い
これから起きるのは「三重の減少」
滋賀県立高専の開校によって、舞鶴高専は次の三重苦に直面します。
- 京都府北部・嶺南の少子化
- 地元学力分布の変化による上位層の減少
- 京都中部・南部・京都市内・滋賀県からの流入減少(確定的)
③が加わった時点で、
これは「不安」ではなく構造的必然です。
だからこれは「舞鶴市だけの問題」ではない
舞鶴高専はもともと
京都府北部 × 福井県嶺南の広域公共財でした。
進学圏も、就職圏も、生活圏も、
すでに県境を越えています。
それを
- 舞鶴市単独
- 京都府北部だけ
で守ろうとするのは、構造的に無理があります。
必要なのは「北部 × 嶺南」という発想転換
舞鶴高専を守るとは、
学校を守ることではありません。
この地域が、理系人材を育て、循環させ続ける出口を守ることです。
対策として
- 京都府北部 × 福井県嶺南で
人材育成圏として連携する - 高専を“広域の基盤”として扱う
- 就職・奨学金・教育支援を共同で設計する
等の対策をすぐにしなければ京都府北部 × 福井県嶺南の未来の技術者が消えれしまう事に繋がります。
「舞鶴高専が消える」可能性について
短期(〜10年)
- すぐ廃校:❌ 可能性は低い
- ただし
- 志願倍率の低下
- 定員割れの常態化
- 専攻再編(縮小)
は起こり得る
中期(10〜20年)
- 統廃合・機能移転の議論:⭕ 現実的
- 例:
- 専攻科の統合
- 一部分野を他高専へ集約
- 「キャンパスはあるが中身が減る」状態
👉 “名目存続・実質縮小”が一番リアル
おわりに
「舞鶴高専が消える?」
この問いに対する答えは、こうです。
何もしなければ、
機能としては、確実に縮んでいく。
しかし、
広域で支え、役割を再定義すれば、
消えるどころか、代替不能な存在になれる。
これは
舞鶴の学校の話ではありません。
京都府北部・福井県嶺南が、これからも技術で食っていけるかどうかの話です。
分岐点は、もう目の前にあります。


