舞鶴市消防職員・市職員が違法とされるオンラインカジノに関与したのではないか──。
市民からの情報提供を受け、市民オンブズマンまいづるは、舞鶴市が把握している関連記録や内部調査文書などの存在を確認するため、情報公開請求を行いました。

ところが市は、文書の内容以前に 「あるかないかすら答えない」 という、極めて強い秘匿対応(存否応答拒否)を選びました。
これは、通常は国家安全保障や重大刑事事件など、極めて限られたケースでのみ用いられる異例の措置です。

その結果を受けて、市民オンブズマンまいづるは審査会に結論をゆだねました。

その結果がこちら、残念ながら舞鶴市情報公開・個人情報保護審査会にも正義はありませんでした。

公開された審査会の答申では、市の判断を形式上は「相当」としていますが、その論理を読み解くと、むしろ市政の透明性に大きな疑問が浮かび上がります。


■ 市の主張:「事情聴取があったと言えば職員が疑われてしまう」

審査会は、市の判断を次のような趣旨で支持しています(資料)。

  • 仮に事情聴取があったとしても、それだけでは違法かどうか分からない
  • 調査の有無を答えることで、職員が不当に疑われ名誉を損なう可能性がある
  • よって「ある/ない」を答えないことは妥当

つまり市の論理は、

「職員の名誉のため、文書の存在を明らかにできない」

というものです。


■ しかし──「無ければ無いと言えばよい」のでは?

ここに重大な矛盾があります。

本当に事情聴取も調査も“無かった”のであれば、なぜ市は「そんな文書はありません」と答えないのでしょうか?

通常の情報公開制度の運用では、

  • 文書がある → あると答える
  • 文書がない → ないと答える

これが基本です。

“存在しないものを不存在と回答すること”が職員の名誉を傷つけることはありません。
むしろ「無い」と明言することこそが、職員への無用な疑念を完全に防ぐ唯一の方法です。

にもかかわらず市は、その最も簡単で明快な回答を避け、
あえて「答えられない」という不自然な選択肢を選んだのです。


■ 市民が抱くのは当然この疑問:

「無いと言えないのは、何か“ある”からではないのか?」

この反応は市民の感情として自然であり、むしろ行政側が招いた結果です。
市のいう「名誉保護」という理屈が、現実には 逆に職員への疑念を拡大させてしまっている のです。

透明性の欠如が、さらなる不信の悪循環を生んでいる典型例と言えます。


■ 追い打ちをかける問題:審査会そのものの“公正性”

今回の判断を下した 舞鶴市個人情報保護審査会 の構成も重大な問題です。

  • 会長:舞鶴市内で弁護士事務所を経営する弁護士
  • 委員:舞鶴で事業を行う司法書士
  • 委員:舞鶴高専の講師

つまり、審査会メンバー全員が舞鶴市との利害関係者なのです。

市役所をチェックする立場のはずの審査会が、市と密接に関わる地元の専門家だけで構成されている──
これで本当に独立した公正な審査ができるのでしょうか?

他自治体では、中立性確保のために市外・府外の法律家や学識経験者を起用することが一般的です。
舞鶴市の審査会の構成は、それと比べても異例であり、独立性が十分とは言えません。

■ 不透明な判断を“不透明な仕組み”が追認している

今回の構図は、

透明性の欠如した市の判断を、透明性に疑問のある審査会が追認した

という二重の不透明さに包まれています。

これでは、市民が納得できるはずがありません。


■ 結論:舞鶴市は「説明しないこと」で市民の信頼を失っている

  • 文書の有無も答えない市の対応
  • 疑念を晴らせたはずなのに「無い」と言わない不自然さ
  • そして審査会の独立性に対する根本的な疑問

これらが重なり、今回の問題は単なる情報公開の争いではなく、
市政の透明性と公正性そのものにかかわる重大問題に発展しています。

市民オンブズマンまいづるとしては、
舞鶴市が市民に対して誠実に説明責任を果たし、
審査会の独立性や制度運用の見直しを行うことを強く求めます。

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