東消防署「35万円紛失事件」— 公文書が存在しない? 私たち市民オンブズマンまいづるが見た“より深い問題”

舞鶴市で発生した「東消防署 金庫35万3000円紛失事件」。
この不可解な事案は、長い間、市民に説明されないまま放置されてきました。

今回、私たち市民オンブズマンまいづるが情報公開を求めましたが文書不存在の回答で幕引きが計られました。
そこで私たちは審査会に不服申し立てを行い、今回、舞鶴市情報公開審査会が判断を出しました。

その答申書を読み込むと、事件そのもの以上に
舞鶴市役所の“文書管理の姿勢”に重大な問題が潜んでいる ことが見えてきます。

この報告書では、その内容を私たちの視点でわかりやすく整理します。


🔎 1. 何が起きたのか(事件の概要)

東消防署で

  • 金庫から 35万3,000円が紛失
  • 警察と消防本部が内部調査
  • 最終的に 消防本部の管理職が私的に補填

という異例の対応が取られました。

ところが、調査の中心となるべき
記録・資料が“すべて存在しない”
と市が回答したことが大きな問題となっています。


🔎 2. 私たちが開示請求した文書

私たち市民オンブズマンまいづるが求めたのは次の2点です。

  1. 🔸 職員への聞き取り調査記録・警察へ提出した資料の写し
  2. 🔸 紛失した35万円を誰がどう補填したのかが分かる文書

しかし舞鶴市消防本部は、このうち①②について
「文書は存在しない」 と回答しました。

重大事件で記録ゼロ?
市民感覚とは明らかにかけ離れています。


🔎 3. 審査会の判断

審査会は形式上、
「不存在とした市の判断は相当」
と結論づけています。

しかしこれは「正しい」と認めたわけではありません。

読み解くと次のような問題点が浮かび上がります。


⚠️ 4. 答申書が示した「舞鶴市行政の深刻な問題」

❗① 最終的に責任を放棄した審査会

審査会は答申書の最後に

審査請求人は、仮に、本当に一切文書が存在しないのであれば、公文書管理規則に違反するなどと述べる。
しかし、実施機関における文書の保管体制等の是非の判断については、本審査会の職責ではなく、この点に関して、当審査会は意見を述べない。
と明記しています。

つまり、
「この問題、審査しましたが最終的には審査会では対応できませんと責任を放棄したことになります」
ということです。


❗② 審査会には権限が無く、市の説明を完全には信用していない

審査会は調査権限を持っておらず、市内部に立ち入れません。

そのため、

市の説明は“不合理とまでは言えない”
本当に文書が無いかどうかは確認できない
という、非常に弱い認定にとどまっています。

これは、
「市が言うなら仕方ないが、本当のところは分からない」
と読めます。


❗③ 補填理由の文書がないのは異常

35万3,000円という金額が紛失し、管理職が私的に補填しているにもかかわらず、

  • どういう理由で補填したのか
  • どんな説明責任を果たしたのか
  • 処分や内部検討の記録はどうなったのか

これらが一切文書として残っていません。

通常の行政処理として考えにくく、
ガバナンス不全が疑われるレベルです。


❗④ これだけの問題が明らかになっても、市議会が動かない異常さ

実は、この事件で行政以上に深刻なのは市議会の無反応です。

金庫の紛失、文書の不存在、公文書管理の疑い、調査の不在、説明ゼロ──
これだけの問題がそろっていれば、
本来なら市議会が最前線に立ち、徹底調査と行政監視を行うべきです。

ところが実際には、

  • 議会での調査要求なし
  • 委員会での審議なし
  • 行政への説明要求なし
  • 問題提起すら行われていない

まさに “行政を監視する機関が、行政よりも沈黙している状態” です。

議会が本来の役割である「行政監視」を果たさなければ、
どれだけ市民が声を上げても、
行政の不透明さはそのまま温存されてしまいます。

これは、事件そのものと同じくらい深刻な問題です。


⚡ 5. この事件で本当に問われているもの

東消防署で起きた“金庫の紛失”以上に重要なのは、

🟥 舞鶴市役所と市議会の双方で、説明責任とガバナンスが機能していない可能性がある。

市役所では文書が残らず、
市議会はそれを追及しない。

この“二重のチェック機能の崩壊”こそが、
事件の構造的な問題点です。

行政だけでなく、
議会が行政監視を放棄している現状は、
市民自治にとって極めて危険な兆候です。


🗣️ 6. 私たち市民オンブズマンまいづるが注視すべきポイント

  • 行政が不祥事でも文書を残さない体質
  • 情報公開を求めても「文書不存在」で遮断される構造
  • 審査会も内部の真実を確認できない限界
  • そして本来チェックする側である市議会が、何も行動しない状態
  • その結果、市民誰もが真相にアクセスできない状態が固定化されている

この問題は行政だけでなく、
**「行政を監視する議会自体が機能していない」**という、
もっと根本的な危機を示しています。


📌 7. まとめ

今回の答申書で浮き彫りになったのは、次の点です。

✔ 金庫紛失事件の真相は「文書が無いため永遠に検証不能」

✔ 文書不存在は、公文書管理規則違反を疑わせる重大問題

✔ 市の説明は審査会も完全には裏付けられていない

✔ 行政の不祥事対応が“記録を残さず処理される体質”の可能性

そして、これだけの問題があるのに市議会が全く動かない異常さ

✔ 行政以上に行政監視ができない市議会も、重大な責任を負っている

事件は「35万円の紛失」で終わる話ではありません。
行政と議会の両方で、チェック機能が働いていない。
その構造がもっと重大です。


✍️ 8. 私たちの今後の活動について

私たち市民オンブズマンまいづるは、
行政だけでなく、市議会に対しても
説明責任と監視機能の回復を求めていきます。

  • 追加の行政文書開示請求
  • 住民監査請求の準備
  • 議会への正式な申し入れ
  • 市民への継続的な情報公開
  • 市議会議員の姿勢の可視化

これらを通じて、
舞鶴市のガバナンスを少しずつでも正常化するために動き続けます。

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