
舞鶴市で、2026年度の国民健康保険料が1人当たり平均8.5%増(年額12万7,840円)になる方針が示され、3月議会で決議予定です。
※京都新聞2026/2/19記事参照
増額の内訳は、医療給付費分5,400円増、後期高齢者支援金分910円増(4年連続増)、さらに新設の子ども・子育て支援金分3,040円が加わるとのこと。
この報道を私は疑問に思い、舞鶴市役所福祉部保険医療課(国民健康保険係)へ電話で確認しました。
8.5%という数字は「全世帯(被保険者)で割った平均値」との説明でした。
① 「平均8.5%増」は、あなたの増額ではない
国保は世帯ごとに負担が異なります。
保険料は主に次の要素で決まります。
- 所得割(前年所得に比例)
- 均等割(加入者1人ごと)
- 平等割(世帯ごと)
- 軽減措置(7割・5割・2割)
つまり――
全員が8.5%上がるわけではありません。
所得がある個人事業主は上がりやすく、
軽減世帯は増加幅が抑えられる可能性があります。
市民が知りたいのは
「自分はいくら上がるのか?」
であって、「平均」ではありません。
② 舞鶴の現実――高齢化率約33%
舞鶴は高齢化率が約33%。
国保加入者の多くは
- 年金生活者
- 自営業者
- 非正規雇用層
です。
加入者が減少し、医療費が増える構造の中で、
「加入者減少が理由」
と説明されますが、その負担は
残った加入者で分け合う仕組みです。
つまり、真面目に事業を続けている自営業者や、一定所得のある世帯ほど影響が大きくなる可能性があります。
③ 社会保障費の増加は避けられない
ここは冷静に見なければなりません。
- 医療費は増えている
- 高齢者支援金は増えている
- 国の制度変更もある
値上げが即「悪」とは言えません。
しかし――
必要不可欠な議論ほど、丁寧な説明が必要
なのです。
④ 問題は「プロセス」
2月24日時点で、市民向けに
- 世帯別試算
- モデルケース
- 他市比較
- 上限到達世帯の影響
などの具体資料は示されていません。
それにもかかわらず、3月議会で決議予定。
これは、
値上げの是非以前に、民主的手続きの問題です。
⑤ 本来あるべき姿
社会保障費増加の議論は、市民と共有すべきテーマです。
理想的な流れはこうです。
- なぜ増えるのかを説明
- 舞鶴の財政状況を示す
- 世帯別影響を公表
- 市民の意見を受ける
- 議会で議論
- 決定後も説明責任を果たす
議員は、市民の代理人です。
市民の材料なしに議論は成立しません。
⑥ 今回問われているもの
これは単なる「保険料値上げ」ではありません。
問われているのは、
舞鶴市政は、市民を議論の当事者にしているか
ということです。
社会保障はみんなで支える制度。
だからこそ、みんなで考えるべき制度。
「平均8.5%」という数字だけで終わらせてはいけません。
最後に
賛成も反対もあっていい。
しかしその前に、
市民に十分な情報を示すこと。
これがなければ、議会は“決める場”であっても、“考える場”にはなりません。
3月議会で、どれだけ具体的な資料が出てくるのか。
それをしっかり見届けたいと思います。
追記:報道のあり方と行政発表の責任
今回の件で、もう一つ極めて重要な点があります。
新聞報道が出たということは、
行政が何らかの形で発表したということです。
しかし――
- 市のホームページに市民向け詳細説明は見当たらない
- 世帯別影響試算の公表もない
- 市民向け通知や説明会も確認できない
その状態で、
「平均8.5%増」
という数字だけが新聞に載る。
これは非常にアンバランスです。
■ 新聞社側の問題
報道機関は、行政発表をそのまま伝えるだけでなく、
- 世帯別影響は?
- 軽減世帯はどうなる?
- モデルケースは?
と踏み込む役割があります。
「平均値」だけを強調すれば、
読者はそれを自分の負担増と受け取ります。
説明不足のまま報じるのは、市民理解としては不完全です。
■ しかし、より大きな責任は行政側
もっと問題なのは、
その発表内容が不完全だった可能性
です。
行政が平均値だけを示し、
具体影響を示さないまま外部発表を行ったのであれば、
それは
意図せずともミスリードを生む発表になります。
さらに言えば、
舞鶴市が市民に向けて主体的に公表した形跡も確認できない。
市民への直接説明より先に、
新聞紙面で数字が独り歩きする。
これは順番が逆です。
■ なぜ残念なのか
社会保障費の議論は、市政の中でも最も重要なテーマの一つです。
それを
- 平均値だけで発表
- 市民への直接説明なし
- 議会決議前に報道先行
という形で進めるのは、
市民を議論の外側に置くやり方に見えてしまいます。
これは非常に残念です。
■ 本来あるべき姿
行政は、
- 市民に詳細を示す
- 報道機関にも同じ資料を提供する
- 市議会で議論する
この順番であるべきです。
社会保障は「支える側」も「支えられる側」も市民です。
その市民が情報不足のままでは、
建設的な議論は成立しません。
■ 結び
値上げが必要かどうかは議論の対象です。
しかしそれ以上に、
説明なき決定は、信頼を削る
ということを忘れてはなりません。
今回の件は、数字の問題以上に、
行政と議会、そして報道の姿勢が問われています。
極めて残念です。

