
1. はじめに
令和3年7月、舞鶴市「東消防署」で、現金35万3,000円などを保管していた金庫が紛失しました。
金庫の中には以下の重要物品が含まれていました:
- 現金:353,000円
- 庁舎の「マスターキー」
- 鍵の「予備キー」数本
- 売掛金カード 1枚
本報告書では、この事件の経緯、現在の状況、市民の皆さまが知っておくべき問題点を整理し、ご報告いたします。
2. 事件の経緯(タイムライン)
番号 | 日付 | 内容 |
① | 令和3年7月16日(金) | 金庫の存在を最終確認(3桁ナンバー付き保管庫) |
② | 同年7月20日(火) | 金庫紛失が発覚。内部に現金・鍵・カード等が入っていた |
③ | 同日夜 | 全職員のロッカー・机・車内などを緊急点検 → 発見されず |
④ | 7月21日(水) | 警察に相談。現場確認・指紋採取。被害届は提出せず |
⑤ | 令和3年8月20日(金) | 市議会で一度だけ議論。その後追及・調査なし |
⑥ | 令和4年2月17日 | 市長公室が議長に「警察捜査中」と報告し沈静化 |
⑦ | 令和7年8月18日 | 私たちが情報公開請求 → 複数の重大事実が判明(今回の報告書) |
⑧ | 令和7年9月1日 | 鍵交換工事費用107,360円(税金)が使われていたことが開示 |
3. 新たに判明した重大な問題点
3-1. 現金補填の記録が一切「存在しない」

- 紛失した現金35万3,000円は「管理職で補填した」と説明されるも
→ 補填に関する文書・記録は一切存在せず
→ 誰が? いくら? どのように? 合意書や会議記録も「なし」
→ 預け元の消防団長にも、口頭説明だけで済ませている
➡ 行政の透明性・説明責任の完全な欠如
➡ 市が独自に行った調査の証拠がゼロという異常事態
🔍 補足追記:3-2. 調査記録も「警察に渡したので市には残っていない」
事件直後、市は全職員に対して聞き取り調査を行ったとされていますが、その記録はすべて「警察に提出した」として、市役所にはコピーすら残されていません。
紙・デジタルを含めて、調査の証拠は一切ゼロです。
これは、あまりにも異常な状況です。
本来、市が独自に行った内部調査の記録は、公文書として保存すべきものであり、仮に警察に提供したとしても、写しの保管・報告・監査への提出の義務があるはずです。
それが「一切残っていない」となると、以下の重大な問題が浮上します:
- 内部調査が本当に行われたかどうかすら、市民や議会は確認できない
- 誰に何を聞いたのか、結果どう判断されたのか、検証も監査もできない
- 再発防止にも役立たない
- 組織として「説明責任を果たせない」状態が固定化されてしまう
🚨【参考】福知山市は「所在不明の名簿」で謝罪会見を実施
https://www.asahi.com/articles/AST884VXKT88PLZB002M.html
2025年7月、福知山市では、市役所内で「名簿文書9件の所在不明」が判明し、市長を含む幹部10名がそろって謝罪会見を開きました。
この福知山市のケースは、今回の舞鶴市のケースよりはるかに軽微な内容でした。
福知山で問題になったのは:
- 文書には個人情報がほぼ含まれていなかった
- 名簿は「やりとり記録」程度のもので、調査記録ではない
- 被害額もゼロ、事故の再発もなし
にもかかわらず、福知山市は――
- 市長が3カ月連続で謝罪を表明
- 幹部職員が一斉に頭を下げる会見を開催
- 第三者委員会を設置
- 全庁を対象に文書管理体制の見直しを開始
と、**極めて真摯な対応を行っています。
🔥 舞鶴市の対応は、福知山市の事例と比べて異常すぎる
それに比べて、舞鶴市の対応はどうでしょうか?
- 紛失したのは金庫ごと、現金・マスターキー・売掛カード含む
- 職員全員に聞き取りを行ったというのにその記録がすべて消失
- 警察に提出した記録の写しすら保存されていない
- 補填経緯も文書なし
- 市議会は追及せず、組織的な謝罪も一切なし
これは、説明責任を果たす意思が行政全体に存在しないことを意味します。
✅【明確な提言】→ 舞鶴市は、謝罪会見と第三者委員会の設置を
以上のことから、私たちは以下を強く求めます:
✊ 1. 舞鶴市長・消防長・管理職による正式な記者会見と謝罪
- 市民に対し、今回の記録消失・補填の不透明性について説明し謝罪すること
- 福知山市のように、市民に向き合う姿勢を具体的な行動で示すこと
✊ 2. 第三者委員会の設置と、記録消失・金庫紛失・補填経緯の再調査
- 利害関係のない外部の専門家・弁護士・監査経験者等による委員会を設置
- 記録消失の経緯、補填の正当性、税金支出の適法性について徹底調査
✊ 3. 市議会は公式に「再調査の決議」を行うべき
- 舞鶴市議会がこれを放置すれば、「裏金事件を容認する議会」という烙印を押されることになります
- 市政の信頼を取り戻すには、議会自身が市に説明責任を果たさせる義務があります
3-3. 鍵交換工事に税金107,360円が支出されていた

- 紛失した「マスターキー」等の影響により、東消防署内の複数の鍵を交換
→ 見積書・請求書を開示 → 工事費:合計107,360円(税金)
➡ 原因は不明なまま、責任の所在も不明なのに、「税金だけが使われていた」
4. 市民の皆さまが抱く当然の疑問
- なぜ被害届が出されなかったのか?
- なぜ市議会は一度きりの議論で終わったのか?
- なぜ補填が非公開・非文書で処理されたのか?
- なぜ税金が使われたのに調査結果が示されないのか?
➡ この事件は「市の不祥事」であると同時に、「市議会の監視不全」でもあります。
5. 私たちが求める改善と対応
市民の立場から、次の3つの具体的提案を行います。
5-1. 市議会は再調査を行ってください
- 改めて事実確認と議論の場を設けるべき
- 「なかったこと」にするのは、行政の自殺行為です
5-2. 管理職による補填の経緯を「記録として残す」こと
- 誰が・いつ・いくら補填したのか、公式文書として再提出すべき
5-3. 市の情報管理・文書管理体制を「第三者が監査」すること
- 「記録が残らない行政」はもはや機能していません
- 行政の信頼を取り戻すには、外部の監査の目が不可欠
6. まとめ
- 金庫が盗まれた事実は消えません
- 補填・調査・税金支出のすべてが「記録なし」では、信頼は崩壊します
- 私たちは、舞鶴市政に対して「説明責任」と「再発防止」を強く求めます
7. なぜ「文書なしの補填」は危険なのか?
この報告書は、市民オンブズマンまいづるが情報公開請求等を通じて入手した公的資料をもとに作成しています。
舞鶴市が今回行った「管理職による口頭の補填・記録なしの弁償」は、極めて危険な会計処理です。以下の理由から、不正会計や裏金処理に繋がるおそれがあります。
7-1. 会計ルールに反する
行政における損害補填は、
- 誰が
- いくら
- 何の目的で
- どのような形で
を文書で記録し、会計・人事・監査部門が確認・承認する必要があります。
➡ それが一切ない今回の対応は、「裏金処理」と言われても仕方ありません。
7-2. 不正会計の温床になる
- 書類なしでお金で解決 → 将来も「裏で金を出せばOK」に
- 誰が補填したか不明 → 人事評価にも影響せず
- 補填額も不明 → 操作可能
- 記録なし → 監査不可能
➡ “会計のブラックボックス”が誕生します。
7-3. 政治的に悪用されるリスク
- 幹部が問題を起こしても
→ 「身内で補填したから大丈夫」と処理
→ 市民には「問題なし」と説明して逃げ切る
➡ 文書に残らなければ、すべてが揉み消し可能になります。
7-4. ガバナンス(統治)の崩壊
行政の原則「記録に残す・説明責任を果たす」が完全に崩れます。
➡ もはや「行政」とは言えません。
8. 最終的な提言
✅ 結論:今回の補填は「裏金体質」への入口である
このままでは、
「金が消えても、管理職で勝手に補填して、文書を出さなければ問題にならない」
という危険な前例が作られてしまいます。
✊ 市民として要求すべきこと
- 市は「補填処理」の詳細を文書で再提出すべき
- 市監査委員は本件を調査・報告すべき
- 市議会は「裏金処理の温床」として再追及すべき
第三者による監査を受けるべき
9. 市議会への厳しい問いかけ:存在意義が問われている
私たち市民は、今回の金庫紛失という重大な事件に対し、
舞鶴市議会が真相解明も再調査も一切行わず、わずか一度の形式的な議論で幕を引いたことに、深い失望と怒りを抱いています。
市民の財産が失われ、税金が使われ、記録が消されても、
それを「追及しない」議会に、果たして**存在意義があるのでしょうか?
舞鶴市議会がこのまま沈黙を続けるのであれば、
それはもはや市政の監視機関ではなく、行政の共犯者です。
🔴 市議会よ、目を覚ませ。
私たちは、責任を果たさない議会に「税金からの報酬」を与える理由を持ちません。
10. アセアンファッションウィーク事件と裏金体質の系譜
舞鶴市は過去にも、2013年の「アセアンファッションウィーク2013」において、重大な公金トラブルを経験しています。
当初は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など23ヵ国・地域から約100人のデザイナーを招く国際イベントとして1,400万円の市予算が支出される予定でした。
しかし実態は――
- デザイナーやモデル、バイヤーがほとんど来日せず
- メインイベントは有料開催とされたにもかかわらずモデル不足で開催困難
- KTR列車内ショーは中止が続出
- 宣伝不足、運営トラブルが連日発生
など、**“中身のないイベント”**に終始しました。
そして問題はここからです。
🔥 このイベントの真相は“詐欺まがい”であり、実質的に関係者が集まらなかったにもかかわらず、舞鶴市は支出の正当性を保つため、幹部が“個人で補填”するという処理を行ったのです。
この一時的な補填を、あとから**別の名目の予算で“裏から埋め戻す”**ことで帳尻を合わせた――。
つまりこの時、舞鶴市の「裏金処理の原型」が誕生したのです。
11. 繰り返される裏金処理:いまこそ断ち切るべき体質
今回の「東消防署金庫紛失事件」で行われた、
- 管理職による非公式な補填
- 書類の不存在
- 議会の追及放棄
- 補填額の会計処理不明
という一連の流れは、まさにアセアンファッション事件で確立された「裏金処理の構図」と酷似しています。
これは偶然ではありません。
舞鶴市の行政内部では、「一旦幹部が補填して、その後裏から処理する」という慣習的な不正処理が温存されてきたのです。
市民の目をごまかし、形式的には補填済としながら、実際には市税がどこかでこっそり補われている。
そんな処理が、現在に至るまで繰り返されてきたのではないでしょうか。
12. いまこそ「過去との決別」を
このような処理を続ける限り、舞鶴市は、
「不祥事が起きても誰も責任を取らず、文書も残さず、税金で裏から補填する」
という、**腐敗した体質から抜け出せません。
私たちは、2013年のアセアンファッション事件を教訓として忘れてはなりません。
むしろ今こそ、その延長線上にある「東消防署金庫紛失事件」を通じて、
裏金体質を断ち切る最後のチャンスとすべきです。
13. 舞鶴市の「裏金三大事件」:構造化された不正の歴史
今回の「東消防署金庫紛失事件」は、決して突発的・例外的な事案ではありません。
舞鶴市では過去にも、次のような事件で裏金処理・補填の隠蔽・文書不備・議会監視不全が繰り返されてきました。
13-1. アセアンファッションウィーク事件(2013年)
- 当初予定:ASEAN加盟23ヵ国・地域から100人以上が来場、予算1,400万円
- 実態:デザイナーもモデルも集まらず、事実上の詐欺イベントに
- 市幹部が一時的に補填し帳尻合わせ
- その後、補填分を別予算で裏から回収=裏金化
- 誰も責任を取らず、市議会も調査なし
➡ 「舞鶴市型裏金処理」の原型がここにある
13-2. 駐輪場工事偽装事件(2020年)
https://www.city.maizuru.kyoto.jp/shisei/0000006425.html
- 確認申請未取得のまま着工 → 違法状態で工事開始
- 発覚後に幹部職員が撤去費・損害を私的補填
- その補填を「架空の工事発注」により偽装回収(裏金処理)
- 実際には行っていない工事をでっちあげ、書類・写真も偽装
- 税金1,193,500円を業者に不正支出し、最終的に市が負担
- 複数の職員が懲戒処分・依願退職に至るも、組織的な検証は未実施
➡ 幹部による“闇補填→偽装工事→税金で穴埋め”という典型的な裏金スキームが露呈
13-3. 東消防署金庫紛失事件(2021年)
- 金庫ごと現金・鍵が紛失(未解決)
- 盗まれた現金の補填を管理職が“口頭で実施”、文書なし・記録なし
- 調査記録は全て「警察に提出した」として市に一切残さず
- 補填金の会計処理も不明なまま、鍵交換費用107,360円は税金で支出
- 議会も一度議論したきりで追及放棄
➡ 記録ゼロ・補填ゼロ・説明ゼロの三重不正構造が完成
14. つながる「裏金の系譜」:体質としての隠蔽と腐敗
この3つの事件に共通する構図は、驚くほど似通っています。
項目 | アセアン事件 | 駐輪場事件 | 消防署事件 |
税金損失 | 予算1,400万→縮小分の補填疑惑 | 偽装発注で約119万円・総額280万円 | 鍵交換工事費10万円超+補填額不明 |
幹部の私的補填 | 有り(詳細不明) | 有り(明確に記録) | 有り(だが記録なし) |
補填の裏金化 | 有り(再予算流用) | 有り(架空工事発注) | 有り(処理方法自体が不明) |
文書記録の有無 | 一部不明 | 一部捏造 | 全くなし |
市議会の対応 | 問題視せず | 形式的な説明のみ | 一度だけ議論して終息 |
➡ 舞鶴市には、「とりあえず補填して、あとで裏から処理しておけ」という裏金体質が組織全体に浸透していることが見て取れます。
15. 結論:舞鶴市に必要なのは「裏金処理の文化」との決別
このような不正は、もはや「事故」ではなく構造的な病理です。
つまり、
🔥 舞鶴市は、長年にわたり、「裏金で辻褄を合わせる文化」を温存してきた。
その根本原因は、
- 幹部による口頭処理・非公開の慣行
- 監査が機能しない体制
- 市議会の不作為
- 内部通報制度が機能せず、組織防衛優先の空気
といった制度的・文化的欠陥にあります。
私たち市民は、いま一度強く問います。
「このまま、行政も議会も、見て見ぬふりを続けるのですか?」
✊ 市民が動かなければ、また繰り返される
裏金は、誰かの懐を肥やすだけではありません。
結果的に、未来の予算が削られ、市民サービスが損なわれ、若者が去り、地域が衰退していく。
だからこそ今、私たちは声を上げる必要があります。
- 「説明責任を果たせ」
- 「再発防止を実行せよ」
- 「隠蔽と腐敗に市民がNOを突きつけよ」