1. はじめに

舞鶴市議会は「市民に開かれた議会」「議会機能の充実」「効率的・効果的な議会運営」を基本方針として掲げています。しかし、実際の情報公開請求対応においては、再々延期が行われるなど、理念とは逆行する姿勢が見受けられます。本報告書では、議会が自ら掲げる理念と現実の対応の矛盾について検証します。


2. 議会の掲げる理念(第21期実行計画より)

舞鶴市議会は「市民に開かれた議会」を目指し、以下のように記しています。

「市民に開かれた議会」「議会機能の充実」「効率的・効果的な議会運営」の実現を目標として、それぞれ具体的な取組を定めます。

さらに、「親しみやすく身近な議会」「正しく理解され信頼される議会」を掲げ、

  • 議会資料や活動の積極的な公開
  • 本会議・委員会のネット配信強化
  • 市民の意見を反映させる仕組みの検討
    などを取り組むとしています。

3. 実際の対応(情報公開請求の再々延期)

令和7年7月17日に提出された「舞鶴市議会議員の報酬・政務活動費に関する情報公開請求」に対して、議会事務局は以下のように通知しました。

開示決定等期限延長通知書
延長後の期間:令和7年7月17日から令和7年9月12日まで
延長の理由:行政文書開示請求に係る行政文書が大量であり、事務処理に時間を要するため

当初期限は 令和7年7月31日 でしたが、度重なる延期により最終的に 約2か月近い遅延 となっています。


4. 市民からの要望(提出済み文書)

こうした対応を受け、市民オンブズマンから以下の要望が議会事務局に伝えられました。

【要望内容】

7月17日に提出いたしました舞鶴市議会宛ての開示請求につきまして、再三の延長がなされ、回答期日が9月12日まで延長されました。しかも、延期の通知のみが一方的に届き、経過説明や連絡は一切ありませんでした。

「第21期 舞鶴市議会基本条例実行計画」に掲げられている「開かれた議会」の理念からは程遠い現状であり、大変残念に思います。これまで多数の情報公開請求を行ってきましたが、議会事務局の対応が最も遅く、かつ不親切であると感じています。

さらに、議会の会議録や議会資料の公開についても、次の議会直前にようやく公表される状況であり、市民の「知る権利」を著しく損なうものです。


【要請】

議会事務局におかれましては、以下の改善を早急にご検討ください。

  1. 情報公開請求への迅速かつ丁寧な対応
    • 再延長を繰り返さないこと
    • 延期が必要な場合は、その理由を説明し、適切に市民へ連絡すること ※書類が多いなどは延期理由にならない
  2. 会議録・議会資料の早期公開
    • 次期議会直前ではなく、議論が市民に開かれるよう迅速に公表すること

本件につき、誠意ある対応を切にお願い申し上げます。

市民オンブズマンまいづる
代表 森本 隆


5. 理念と現実の乖離

掲げられた理念と実際の対応には、次のような矛盾が生じています。

  • 「市民に開かれた議会」
     → 延期通知だけが届き、進捗説明もなく、市民の「知る権利」を阻害。
  • 「議会機能の充実」
     → 市民オンブズマンによる監視活動に必要な情報提供を後回しにし、チェック機能を弱める結果に。
  • 「効率的・効果的な議会運営」
     → 情報公開請求に最も非効率な対応をしており、効果的とは言い難い。

6. 市民への影響

  • 情報公開が遅れることで、市民は議会活動の実態を把握できず、議会への信頼は損なわれる。
  • 公開が遅延すればするほど、市民参加や政策監視の機会は失われる。
  • 結果として、「市民と議会の距離を縮める」という条例の趣旨に反し、むしろ距離が広がっている。

7. 提言

  1. 情報公開請求に対する迅速かつ誠実な対応
     大量文書を理由とした延期を繰り返すのではなく、段階的開示など工夫を行うべき。
  2. 理念と実務の整合性の確保
     「市民に開かれた議会」と謳う以上、情報公開を最優先で実現すべき。
  3. 進捗説明の義務化
     延期する場合は、市民に対して理由や進行状況を丁寧に説明する仕組みを構築すべき。

結論

舞鶴市議会は、条例と計画で「開かれた議会」を掲げていますが、現実には「閉ざされた議会」となっているのが実情です。この乖離を是正しない限り、議会に対する市民の信頼は回復できません。

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