
舞鶴市に誘致が発表されたAIデータセンターについて、
市民の方から次のような声が届いています。
「誘致の条件に電気代の一部補填があるのではないか?」
「もし半分負担するような話なら大丈夫なのか?」
現時点で公式に確認された情報ではありません。
しかし、大型事業である以上、条件次第では市財政に与える影響は小さくありません。
そこで今回は、仮に電気代補填がある場合、どの程度の負担になり得るのかを整理します。
データセンターは電力集約型施設
AIデータセンターは、製造業とは異なり、
人ではなく電力が主役の施設です。
仮に平均使用電力が10MW規模とすると、
- 年間電力量:約8,760万kWh
- 電力単価20円/kWh
→ 年間電気代:約17.5億円
その半分を市が補填するとすれば、
約8〜9億円/年
という水準になります。
問題は「単年度」ではない
電気代補填が仮に存在するとして、
それが1年間だけということは現実的に考えにくいでしょう。
企業誘致における補助制度は通常、
- 5年間
- 10年間
といった複数年契約になるケースが一般的です。
仮に、
- 年8億円補填 × 5年 = 約40億円
- 年8億円補填 × 10年 = 約80億円
という規模になります。
これは固定資産税収の試算(20年で約4億円前後)と比較すると、
桁が一つ違う可能性があります。
さらに見落とせない「物価・電力単価上昇リスク」
ここで重要なのは、電気代は固定ではないという点です。
近年、
- 燃料価格の高騰
- 為替変動
- エネルギー政策の変更
などにより、電力単価は大きく変動しています。
仮に今20円/kWhで計算していても、
- 25円
- 30円
と上昇すれば、補填額も比例して増えます。
仮に30円/kWhになった場合、同じ10MW規模でも、
年間電気代:約26億円
市の補填(半額):約13億円/年
となります。
これが5年続けば約65億円、
10年続けば約130億円規模になります。
つまり、
電気代補填は「固定補助」ではなく、
物価上昇と連動する“変動型支出”になる可能性がある。
ここが最大の財政リスクです。
市財政にとって何が危険か
もし上限(キャップ)がない補填制度であれば、
- 事業拡張 → 電力増加 → 市負担増
- 電力単価上昇 → 市負担増
という構造になります。
これは市が電力価格リスクを肩代わりする構造に近い。
電源立地地域であるとはいえ、
市民生活や他の行政サービスとのバランスを考えれば、
慎重な設計が必要です。
問うべきは「あるかないか」ではなく「条件」
重要なのは、
- 電気代補填制度はあるのか
- ある場合、年間上限はいくらか
- 期間は何年か
- 単価上昇時の扱いはどうなるのか
- 撤退時の返還条項はあるのか
という具体的条件です。
これが明らかでなければ、
市民は判断できません。
最後に
AIデータセンター誘致は、
舞鶴にとって一定の意義を持つ事業です。
しかし、
- 雇用が限定的
- 税収効果が小さい
- 補助が長期・変動型になり得る
という構造を考えれば、
夢の話よりも、まずは支出構造の確認が必要です。
歓迎するからこそ、
条件を明確にする。
それが、市民として最も健全な姿勢ではないでしょうか。

